〜話:小林秀雄〜
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美は人を沈黙させます。
どんな芸術も、その創り出した一種の感動に充ちた沈黙によって生き永らえて来た。どの様に解釈してみても、遂に口を噤むより外にない或るものにぶつかる、これが例えば万葉の歌が今日まで生きている所以である。つまり理解に対して抵抗して来たわけだ。
解られて了えばおしまいだ。解って了うとは、現物はもう不要になるということです。
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言霊を信じた万葉の歌人は、 言絶えてかくおもしろき、と歌ったが、外のものにせよ内のものにせよ、言絶えた実在の知覚がなければ、文学というものもありますまい。
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出典:小林秀雄「栗の樹」
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