話:石川直樹
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写真の面白いところは、
予期せぬ偶然が写りこむこと。
ぼくは撮影に向かう際、漠然を行き先を決めることはあっても、撮りたい写真のイメージを事前に固めることはありません。なぜなら、狙ったものを思い通りに撮れたときほどつまらないものはなくて、撮る前に意図していた通りになんて絶対撮りたくない。
自分が気づかなかったものまで写り込むからこそ、写真は面白いと思っていますし、予想とは違うものに出会うから旅は楽しいわけです。
旅をするとき、ぼくは常に
出会いがしらの偶然を大事にしています。
風景を目の前にして、何かを待ったりせず、演出したりせず、何かと出会って、自分の体が反応した風景をそのまま撮る。
雨が降っていれば雨の風景を撮り、曇っていたら曇りの風景を撮り、たまたま晴れていたら晴れの風景を撮る。天候待ちなんてしません。
自分の主観で目の前の世界をねじ曲げたくないんです。
だから、意識的にフレーミングするというよりは、反応だけでシャッターを切る。ただ、そこにあるものをそのまま撮る。それは案外難しいことでもあって、でもそうした撮り方がぼくの写真の根底にあるんだと思います。
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引用:CANON PHOTO CIRCLE 12月号
石川直樹「Encounter Nature 日本の風土」
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