2016年3月7日月曜日

アララト山の宇宙人


話:村越愛策




気も遠くなるような永いあいだ、地球という星を見てきた宇宙人の長(おさ)は

「あの星はどうなってるんだ?」

ということで、地球人そっくりさんに命じて「またチョッと行って見てこい」と指令を出した。宇宙船が地球に近づくと、一面の青い海と赤茶けた大地のほかには何も見当たらない。着地しようとして

「何か目印はないか?」

と見回すと青い海が南東から北西に帯状にあり(ペルシャ湾、約200km×900km)、その延長線上に、雪を頂いた山が見えた。

「おっ! これは格好な目標だ」

ということで着陸。あとになって我々がわかったのは、ここが肥沃な三日月地帯といわれる、人類が文明というものをもった初めての地だったのである。目立つ雪を頂いた山は、トルコとイラクの国境にある旧約聖書で有名なアララト山(5,165m)である。





さて、宇宙船で飛来した女性たちは、のちにメソポタミアと呼ばれる地域の男たちに愛されたようだが、彼女たちは豊満な体つきをして優しい物腰で喜びを全身であらわした、とは、粘土板に書かれた叙事詩の主人公・ギルガメッシュ王の言葉である。ところが、この王様が実在の人物であったかどうかは定かではない。

日本ではその昔、天皇のことを「すめら・みこと」といったが、それはどうも「シュメルのみこと」が語源らしい。スメラ、スメロ、シュミとは、シベリア、モンゴルからウラル、インドといった広大な地域で「世界の山」を意味しているそうだ。高いもの、崇拝するものがシュメルなのである。



20世紀の初めに、イラクから半欠けの粘土板が出土した。それに書かれた楔形文字を解読したところ、粘土の円盤に書かれているのは、2時から8時方向へは

「地球への飛行方法」

であるらしい。5時半あたりに「現在のペルシャ湾とそっくりの図」がある。8時から2時にかけては

「宇宙への帰還方法」

で、9時にセット、その右が「ロケット」、その右が「上昇」「山」とつづき、「投下」「完了」とある。9時半の三角部には「神エンリルは数々の惑星を通り抜けた」とあり、「火星」「木星」とつづく。10時半には「高く高く蒸気の雲」と読めるそうだ。

なお、円盤の中心はアララト山ではないかと推測されている。





上記は『銃・病原菌・鉄』の著者、ジャレド・ダイヤモンド博士によるが、彼は宇宙人の存在を確信しているようだ。一万年前に飛来した宇宙人は、メソポタミアの肥沃な三日月地帯がまだ混沌としていたので、その千年後に飛来して初めて人類と接触したらしい。

博士は、この地帯が農耕に適した最初の地域だった、と同書で詳しく述べている。さらにアフリカで生まれた人類の進歩があまりにも遅々としていたことから、宇宙人はこの地で人類の進歩を促したのではないか、と彼は記している。







引用:絵で表す言葉の世界―ピクトグラムは語る (KOTSUライブラリ)




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