2017年8月8日火曜日

『アメリカの鏡:日本』[WW2]



『アメリカの鏡:日本』より


占領が終わらなければ、日本人は、この本『Mirror for Amerianas: JAPAN』を日本語で読むことはできない。

ダグラス・マッカーサー




1948年、翻訳家・原百代氏は、ヘレン・ミアーズより原著『Mirror for Americans: JAPAN』の寄贈を受け、日本での翻訳出版の許可を得た。

原氏は、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)に嘆願書を添えて、日本における翻訳出版の許可を求めた。しかし、その望みは断たれた。翻訳出版不許可の決定がくだされたのだ。





占領が終了した翌年の1953年(昭和28年)、原氏の翻訳は『アメリカの反省』と題してやっと出版された。しかし、当時はなにゆえかあまり注目されず、その後は、ごく限られた専門家以外には、その存在すら忘れられていた。

現代史を勉強している私は、アメリカにいる友人からこの本『Mirror for Americans: JAPAN』の存在を教えられ、その内容を知った。そして自分自身で構築した歴史観を裏付けるその内容に激しい衝撃を受けた。50年も前に「後知恵」でなく、しかも、アメリカ人によって書かれていたこの本を、わたしは少しでも多くの日本人が読むべきであるとの強い思いを抱いた。





ヘレン・ミアーズは言う。


「私たちが、本当に平和を望んでいるのなら、世界の戦争原因を究明するにあたって、もっとも現実的になる必要があるだろう。そのためには日本は絶好の出発点である。



日本が第一次世界大戦時には『敵』ではなく『同盟国』だったから重要なのである。一つの国がいきなり『友人』から『敵』に変わった理由がわかれば、私たち地震の考えと政策が他国の人々に向けられるとき、それがどのように見えるか、知ることができる。

この本の意図は、少なくともその探求をはじめることにある。



日米双方で悪を演じているのは『危機的事態』なるものなのだ。第二次世界大戦を、三幕物の悲劇の第二幕だけで終わらせるためには、この危機の正体こそ検証しなければならない、と思ったのである。



日本帝国の彗星のような出現と消滅は、その意味についてまだ十分に議論されていない。近代にはいってわずかな間に、平和な鎖国主義から軍事大国主義へ急転換した日本の歴史は、四半世紀にわたる西洋世界の歴史の縮図なのである。

私たちは日本を客観的に研究することによって、私たちが生きる激動の時代の問題と矛盾を明らかにすることができる。そこではじめて、私たちは未来への流れをはっきりと方向付けることができるのだ。



力というものは、あまりに大きすぎると、小さすぎるのと同じように危険である。









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