2016年11月10日木曜日

星より料理[ブリア=サヴァラン]






新しい料理の発見は、新しい星の発見よりも人類を幸福にする。

La découverte d’un mets nouveau fait plus pour le bonheur du genre humain que la découverte d’une étoile.


ブリア=サヴァラン
Brillat-Savarin(1755-1826)

※天王星の発見(1781年)があった頃の言葉。ちなみに、海王星ものちに発見される(1846年)。







2016年11月9日水曜日

未来が過去に影響する[逆因果関係]



ある物理学者は、自由意志を可能にしているものは「量子力学のあいまいさ」であり、通常の因果関係に反して、未来が過去に影響をおよぼすこともあるのだと考えています。

モーガン・フリーマン
「ヒンズー教にカルマという概念があります。すべての行いは良いことであれ悪いことであれ、同じ強さで本人のもとに返ってくるというものです。原因と結果の倫理的な法則です。では、これが逆に働いたらどうなるでしょうか? 将来おこなうことが、過去に影響するとしたら…?」







この物理学者は量子力学を新たな見方でとらえようとしています。自由意志が宇宙の基本構造に組み込まれていると考えているのです。ケン・ウォートンは、サンノゼ州立大学の教授です。彼は、人間の日常のほとんどは自然界の基本原則で説明できるという考え方に惹かれてきました。

ケン・ウォートン
「子供の頃、よく両親が撮影したホーム・ムービーを見ました。見終わってフィルムを巻き戻すときも、映写機をつけたままにしていました。逆回しにするとすべてが滑稽に見えて、みんなで笑いました。でも、物理学者だった父はこう言いました。

『ケン、おまえが見ているものは、どっち向きに進んでいても、同じ物理法則にしたがっているんだよ』

まったく違っている見えるものが同じ物理法則にしたがっているとは、いったいどういう意味なのか、ずっと考えてきました」



物理学の法則は、人間の選択も予測できるものなのでしょうか? あるスタート地点から、あらかじめ定められたゴールまで、わたしたちを導く基本的な法則が存在するのでしょうか?

アインシュタインは存在すると考えました。相対性理論によれば、わたしたちはブロック宇宙というなかに住んでいます。そこでは、すべての時間と空間が一続きのフィルムのように配置され、過去・現在・未来が同時に存在しています。これは過去が未来に影響を与えるのと同様に、未来が過去に影響を与えることを意味する、とウォートンは考えています。

ケン・ウォートン
「未来は現在と相関関係があり、予測可能なものです。それを可能にするのが科学です。そうした予測をおこなっていくと、宇宙を散らばったカケラの集合体と見るよりも、一つの連続した構造物として見るほうが自然だとわかります」



ウォートンはこう考えています。量子力学的なレベルまで含め、あらゆる物事には明確なスタート地点とゴールがある。しかし、その中間には不確定性がある。

ケン・ウォートン
「これを説明するのが、逆因果関係です。わたしたちの未来における選択が不確定性を引き起こしているのです」

逆因果関係は、未来が過去に影響を与えることを意味します。出来事のはじめと終わりは決まっていても、その中間部分は量子力学によって融通がきくようになっています。そこに私たちの選択の自由がある、ということです。







ケン・ウォートン
「ニュートンが考えた時計のような宇宙空間では、最初の状態と物理法則によってすべてが決まってしまいます。その後の出来事に自由はありません。しかし、相対性理論から導きだされる宇宙空間では、物事は最初の状態だけでなく最後の状態からも影響を受けます。そのため、中間の出来事は最初からすべてが決まっているわけではなく、不確定な部分があります。そこに自由意志の存在する余地があるわけです」

わたしたちの最終的な運命は決まっているものの、どのようにしてそこに至るには正確には決まっていないというのです。

「私が1分後に何を決めるかはわかりませんが、何かを決定し実行するはずです。何を決めるか今はわかっていなくても、必ず決定はおこなわれる。過去が必ずしも未来の結果を縛るわけではないという、よい例です」






出典:モーガン・フリーマン「時空を超えて」
運命か? 自由意志か?



2016年11月6日日曜日

プラチナを探せ![南アフリカ]



液晶画面に「イリジウム」
半導体に「ガリウム」
電池には「リチウム」

これらは電気製品に使われている「レアメタル」の一例である。







そして自動車には、排気ガスをきれいにする触媒としてレアメタルの一つ、「プラチナ」が使われている。





ところで、その「プラチナ」、日本ではまったく採れない。世界中を見回せども、その採掘場所は極めて限られた、南アフリカの一地域にしか確認されていない。


プラチナの埋蔵量は南アフリカに集中

南アフリカの「プラチナ鉱山」地帯



プラチナの安定供給をめざし、宮武修一さんは南アフリカでプラチナ探しをはじめた。

宮武さんは言う。

「地表部分は、もう隈なく調べられていました。後発のわれわれとしては、いまだ探査のおこなわれていない場所を探すところから、まずスタートしました」



南アフリカは広い。

いったいどうやって独自の鉱床をさがすのか?

そこで用いられたのが、「重力探査」という方法だった。







地球の重力というのは実は、地域によって微妙に異なっている。

というのは、地下に比重の大きい物質、つまり重い物質が埋まっていると、その場の重力は大きくなるのである。


重力は均一ではない



宮武さんは言う。

「白金(プラチナ)を含む石は重いんです」

重力探査の結果、従来のプラチナ鉱山(下図、白枠内)の北側にもプラチナの鉱床が伸びている可能性があることが判った(下図、黒枠内)。


赤やピンクが、重力の大きな場所



磁気調査なども併用し、いよいよボーリング。

すると案の定、地下600m辺りからプラチナ鉱床が発見された。



宮武さんは言う。

「非常に大きなプラチナ鉱床です。南北13km、地下1,000mをこえて連続していることが、現在わかっています。これから、いったいどれだけ大きい鉱床に発展するのか、今後の探査が楽しみです」







出典:NHK高校講座 化学基礎



2016年11月5日土曜日

How stars are born[星の誕生]



今日は新生児室を訪問しようと思う。
Today we're going to visit a nursery

でも、君たちが想像しているものより、はるかに大きいよ。
but it's one far bigger than any you will have seen before.

星の新生児室だ。
It's a star nursery:

つまり、星が生まれる場所についての話だね。
the place where stars are born.



銀河には数十億個の星と、何もない空間がたっぷりとあるんだけど、
Our galaxy contains billions of stars, lots of empty space,

その他にも巨大なガスの雲があるんだ。
but also huge clouds of gas:

この雲は大量の物質を含んでいてね。
large amounts of matter,

そのほとんどは水素原子なんだ。
mostly made of hydrogen atoms.

重力によってガスが一ヶ所に集まるんだけど、
Gravity holds the gas together

時として雲の一部が、雲のほかの部分よりも密度が高くなることがある。
but by chance some parts of the cloud become more concentrated than other parts.



このかたまりの密度がさらに高くなることがあって、
These clumps can become denser,

雲から分かれて、巨大な圧縮された水素の球を形成するんだ。
separating from the cloud and forming gigantic balls of compressed hydrogen.

重力の影響によって、この球はどんどん大きくなり、密度も高くなる。
The influence of gravity means the balls continue to get bigger and denser.

やがて重力によってあまりにも圧縮されたために、
Eventually gravity compresses them so much

球の中心部にある水素原子が融合してヘリウムになり、
that the hydrogen atoms in the core of the ball fuse and form helium,

莫大な量の光と熱が発生する。
producing huge amounts of light and heat:

この球は、いまや星の赤ちゃんってわけだ。
the ball is now a baby star.







星の新生児室の中でも、最も有名なものの1つを、肉眼で見ることができるよ。
You can see one of the most famous star nurseries with your own eyes.

オリオン座の中の、オリオンのベルトの部分を探してごらん。
In the constellation of Orion, look for Orion's belt.

ベルトの3つ星からぶら下がるように、オリオンの剣がある。
Hanging below his belt is his sword.

その中心の星は、ちょっとぼやけて見える。
The central star of the sword looks a bit fuzzy.

というのも、実はこれは星じゃなくてガス雲、
That's because it is in fact a cloud of gas --

つまり星の新生児室なんだよ。
a star nursery.

宇宙では巨大なガス雲は星雲と呼ばれていてね、
In space, a giant cloud of gas is called a nebula,

オリオン大星雲には年齢が違う、およそ700個の生まれて間もない星があるんだ。
and the Orion nebula contains around 700 baby stars of different ages.







星にならなかったガスのかたまりは、巨大な渦を巻いて星の周囲を回りはじめる。
Gas clumps that don't get incorporated into the young star start orbiting it in great swirls --

こういう物体が惑星の始まりでね、そういうものも、オリオン大星雲では観測されている。
these objects are the beginnings of planets, and they, too, have been seen in the Orion nebula.

銀河のいたるところで星や星系が生まれつつあるんだと考えると、実にワクワクするね。
It's a wonderful thought, that stars and solar systems are being born all across the galaxy.





引用:攻略!英語リスニング 2016年10月号


「走らなくなるか歳をとるのだ」[Born to Run]



話:クリストファー・マクドゥーガル





「じつに面白い話があります」

とブランブル博士は言った。

「われわれは2004年のニューヨークシティマラソンの結果を調べて、年齢別にタイムを比較してみました。それでわかったんですが、19歳を振り出しとして、ランナーたちは毎年速くなり、27歳でピークに達する。27歳をすぎると、タイムは落ちはじめるのです。

さて、ここで問題。19歳のときと同じスピードに戻るのは何歳のときか?」



オーケー。

私はノートをめくって新しいページを開き、数字を書きなぐりはじめた。27歳で自己ベストに達するまでに8年かかる。速くなるのと同じペースで遅くなるとしたら、19歳のタイムに戻るのは36歳。8年かけて上がり、8年かけて落ちるわけだ。

だが、"引っかけ" があるのはわかっていたし、それはつまり、タイムが向上するときと同じ速さで衰えるのかどうかが問題にちがいなかった。

「おそらく一度獲得したスピードはなかなか同じようには落ちていかないでしょう」

と、そう私は判断した。

26歳でマラソンの世界記録を破ったハリード・ハヌーシは、36歳になっても2008年の米国のオリンピック選考会で4位に食いこむ速さがあった。数々の故障があったにもかかわらず、10年間で10分しか遅くなっていない。このハヌーシ曲線に敬意を表して、私は回答を40歳に引きあげた。



「40…」

と言いかけたところで、ブランブルの顔に笑いが浮かぶのが見えた。

「…5」

と急いで言い足した。

「45でしょうか」



「はずれ」

「50?」

「いやいや」

「55はありえない」

「そのとおり、ありえない。」ブランブルが言った。

「答えは64です」



「本当に? とすると…」

私はざっと計算式を書いてみた。

「とすると、45歳の差がある。10代のランナーが3倍の年齢の人に勝てないと言うのですか?」

「たまげるでしょう?」

ブランブルも同じ意見だった。

「64歳が19歳と互角に渡り合う競技を、ほかに挙げてみてください。水泳? ボクシング? 接戦にもならない。われわれ人間にはじつに不思議なところがあります。持久走が得意なばかりか、きわめて長期間にわたって得意でいられる。われわれは走るためにつくられた機械 -- そして、その機械は疲れを知らないのです」


You don't stop running, because you get old.
人は歳をとるから走るのをやめるのではない

とディップシーの鬼は、いつも言っていた。

You get old, because you stop running.
走るのをやめるから歳をとるのだ





宇宙飛行士は地球に帰還したとき、数日間で何10歳ぶんも老化していた。骨は弱くなり、筋肉は萎縮した。不眠、鬱、急性疲労、倦怠感に悩まされ、おまけに味覚まで衰えていた。

長い週末をソファでテレビを見ながら過ごしたことがある人なら、その感覚がわかるだろう。この地球にわれわれは無重力空間を現出させたのだ。身体が果たすべき仕事を奪い、その代償を払っている。

西洋における主な死因、心臓病、脳卒中、糖尿病、鬱病、高血圧症、10数種類の癌…、のほとんどを、われわれの祖先は知らなかった。医学もなかったが、ひとつ特効薬があった。あるいは、ブランブル博士が立てた指の数から判断すると、ふたつ。



「この療法だけで、病気の蔓延をまさしく直ちに止めることができるのです」

と博士は言った。そして2本の指をさっと立ててピースサインをつくり、それをゆっくりと回転させて下向きにし、宙で指を交互に動かす。ランニングマンだ。

「ごく単純なことです」

と博士は言った。

「脚を動かせばいい。走るために生まれたと思わないとしたら、あなたは歴史を否定しているだけではすまない。あなたという人間を否定しているのです」









引用:クリストファー・マクドゥーガル『Born to Run』