2013年4月27日土曜日

金の価格は高くとも、安くとも…



「金」の先物相場は、4月15日のニューヨーク市場で歴史的急落を演じた。

その強烈な下げ幅は、ここ30年間で最悪(1983年2月28日以来)。

この急落を前にも、国際相場はここ数ヶ月下落傾向にあった。



ところが日本の国内相場ばかりは、上昇の一途。今年の2月に33年ぶりの高値をつけるなど、1グラム当たり5,000円を超す局面も珍しくない(去年10月は1g当たり4,500円ほど)。

ニューヨークの金先物の急落にも、国内の金高値はめげる気配がない。右肩下がりに下落する国際価格を尻目に、右肩上がりに国内相場はクロスして上昇する。

それはひとえに「円安」ゆえの逆転現象である。



自民党の安倍首相が政権のトップに立った去年の暮れ以来、アベノミクスと騒がれる景気対策によって、日本の円が愕然と安くなってしまった。

「いま為替が1円動きますとね、金は1グラム当たり約50円違うんですよ」

そう言うのは、金を扱う第一商品の土肥章社長。同社の取引量は去年より5割も急増しているのだという。



ドル円相場の最安値は約76円。現在は100円に届くか届かないか。

その差はおよそ24円。金1グラムに換算すれば、1,200円もの差になる。

金価格がまったく動かなかったと仮定しても、日本国内の金価格は為替の下落のみでグラム当たり1,200円も上昇することになるのである(24%の上昇)。



円安、金高の動きは、リサイクル市場にも変化を呼んだ。

北九州市にある「日本磁力選鉱」のひびき工場では、年間3,000トンの産業廃棄物を処理しているというが、1トンの廃棄物の中から約180グラムの金が取り出せるという。

「一般的な金鉱山で採れる10〜20倍の金が、このゴミの中に埋まっているんです」

同社の原田信常務は、金価格高騰を受けて、日本国内でのリサイクルがしやすくなったと語る。今月下旬にはインドから年間200トンの廃棄される基板を輸入して、年間30トンの金の回収を目指すという。

「いままでは貴重な資源が海外に流出していたのです」と原田常務。



一方、金の高値を喜ばない人々も…。

たとえば、全国の99%の金箔を製造する石川県金沢市。金箔は金銀銅の合金だが、その95%は金である。

「為替で95円が100円になれば、金の価格は1gにつき250円も上がります。そうなってくると、金箔の値段が1枚7円も8円もいっぺんに値上がりしてしまいます」

石川県箔商工業協同組合の今井圭一・副理事長は、そうボヤく。



国際価格と国内価格のすれ違う金相場。

そして、金高値に笑う人と嘆く人…。

金貨に表裏があるのは必然なのか…?






出典:テレビ東京 WBS特集
「33年ぶり高値 金市場に熱い視線」

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