デザイナーの水戸岡鋭治(みとおか・えいじ)さんは、仕事には2つの種類があると言う。
「簡単に言うと『米仕事』と『花仕事』の2種類です」
経済性を求める、つまり稼ぐための仕事が「米仕事」。
文化や感性を大切にするのが「花仕事」。
「日本では経済重視の『米仕事』の人が圧倒的に多いんですが、私はできるだけ文化を持ち込んだ『花仕事』をしていきたいと考えているんです」と水戸岡さんは話す。
しかし、「花仕事」というのは、どうしても目先の利益が下がってしまう。
たとえば、水戸岡さんの手がける鉄道車両などで、床材をプラスチックにすれば低コストでメンテナスも容易になる。
「そこに木材を使おうとすると、高コストでメンテナンスが大変」
それでも敢えて木材を使おうとする理由は、そこに文化を持ち込みたいからだ、と水戸岡さんは言うのである。
というのも、たとえ目先の利益が下がろうとも、木材で魅力的なものを作っておけば、それに惹かれた人たちが「本当のファン」になってくれる。そして、それは結果的に長続きにつながっていく。
「経済性と文化性のバランスを保つようにしていくと、皆がそこそこ好むものが出来上がってきます。実際にそのバランスを追求することが、最終的に一番いい結果を生む可能性が高いのです」と水戸岡さんは語る。
米仕事と花仕事。
経済と文化。
その妙を水戸岡さんは問うのであった…。
出典:致知2013年5月号
「仕事の真髄・人生の妙味 水戸岡鋭治」
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