2013年4月2日火曜日

米仕事と花仕事。水戸岡鋭治



デザイナーの水戸岡鋭治(みとおか・えいじ)さんは、仕事には2つの種類があると言う。

「簡単に言うと『米仕事』と『花仕事』の2種類です」



経済性を求める、つまり稼ぐための仕事が「米仕事」。

文化や感性を大切にするのが「花仕事」。



「日本では経済重視の『米仕事』の人が圧倒的に多いんですが、私はできるだけ文化を持ち込んだ『花仕事』をしていきたいと考えているんです」と水戸岡さんは話す。

しかし、「花仕事」というのは、どうしても目先の利益が下がってしまう。



たとえば、水戸岡さんの手がける鉄道車両などで、床材をプラスチックにすれば低コストでメンテナスも容易になる。

「そこに木材を使おうとすると、高コストでメンテナンスが大変」

それでも敢えて木材を使おうとする理由は、そこに文化を持ち込みたいからだ、と水戸岡さんは言うのである。



というのも、たとえ目先の利益が下がろうとも、木材で魅力的なものを作っておけば、それに惹かれた人たちが「本当のファン」になってくれる。そして、それは結果的に長続きにつながっていく。

「経済性と文化性のバランスを保つようにしていくと、皆がそこそこ好むものが出来上がってきます。実際にそのバランスを追求することが、最終的に一番いい結果を生む可能性が高いのです」と水戸岡さんは語る。



米仕事と花仕事。

経済と文化。

その妙を水戸岡さんは問うのであった…。






出典:致知2013年5月号
「仕事の真髄・人生の妙味 水戸岡鋭治」

0 件のコメント:

コメントを投稿