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2015年4月16日木曜日

風ふけば… [日本の風力発電]



 19世紀後半、ヨーロッパで初めて開発された風力発電。その風力発電は今、世界的に普及している。火力や原子力のように燃料を必要とせず、太陽光発電よりも設備利用率が高い。

 GWEC(世界風力エネルギー協議会)によると、風力発電の世界累計導入量は約370GW(2014年時点)。これは原発およそ370基分に相当する規模だ。2005年までの導入量が約60GWだったことを考えると、ここ10年で実に6倍以上に急拡大したことになる。

 世界トップは中国。全体の30%以上を占めている(114GW)。次いでアメリカ(64W)。この世界経済トップ2で、全体の約半分を占める。3位以降はドイツ、スペインと続き、トップ10にはイギリスやフランス、イタリアなどの欧州諸国がランクイン。インドやカナダ、ブラジルなどが後を追う。






 ところで日本は?

 2014年末時点の導入量は約2.7GW。全世界の1%にも満たないか細さである。太陽光発電と同様、政府によるFIT(固定価格買取制度)が発動されているにも関わらず。

 なぜ、日本では風力が停滞しているのか?

 まず、環境アセスメント(環境影響評価)という壁がある。風力発電による騒音や、動植物など生態系への影響、景観や日照障害(shadow flicker)などの問題が取り沙汰されている。2012年10月から出力7.5MW以上の風力発電所が環境アセスの対象となっており、その調査には4〜5年を要する。その費用はもちろん自腹である。

 適地の問題もある。国土面積の狭い日本において、人気の場所(強い風が安定的に吹きつけるところ)は早いもの勝ちだ。






 そこで最近は海の上、洋上風力が注目を浴びている。

 2014年まで世界に約8.7GWの洋上風力が導入されているが、その90%以上がヨーロッパ。とりわけイギリスが熱心に導入を進めており、その世界シェアは半分以上(約4.4GW)。





 日本では約50MWほどが建設されている。

”現在、千葉県銚子沖と福岡県北九州市沖では、NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)が実証試験を行っており、また福島県沖合では丸紅などが世界最大規模の浮体式と呼ばれる洋上風力発電を建設中であるなど、少しずつだが動きが出始めている(Enegy Eye)”

 しかし陸上風力と同様、環境アセスが厳しい。その海域に生息する動物への影響や、観光船やフェリーなどの航路なども評価対象になる。






伊藤正治(NEDO)統括研究員は言う。

「洋上での建設に際して、特殊船がないなど日本ではまだインフラが整っていません。建設や稼働後のメンテナンスなどにも時間やコストがかかっているのが現状です」

 陸上風力に比べ、洋上風力はコストが高い。総工費が陸上の1.5〜2倍以上かかるケースもあるという。それでもメリットはあるという。

伊藤正治「洋上は陸上に比べて風が強く、安定的に吹く場所に設置できるので、発電効率が高いのです。また輸送に関しても、陸上であれば道路の幅やトンネルの高さなどの制限で、風車の大きさに限界があります。しかし洋上であれば、船さえあれば大型風車を運べ、出力を稼ぐことができます」

 陸上風力の設備稼働率は一般に20%といわれているが、洋上の実証試験では平均30%以上の利用率が確認されているという。

伊藤正治「風力発電は壊れたときのリスクが非常に高い。とくに洋上風力の場合は、現場に行くにも船が必要です。波が高ければ近づくのさえ困難です。洋上はとくに塩害での被害も大きいです」

 洋上と陸上、それぞれが一長一短。

 試行錯誤が続いている。





ソース:エネルギー情報の季刊誌ENERGYeye(エナジーアイ)2015 Spring
次世代エネルギー全解明「完全 風力図鑑」




2015年4月9日木曜日

アメリカのPower Outage(停電)








日本で停電はほとんどない。

一年にわずか4分だという。



一方、アメリカでは頻発する。

一年に平均214分、つまり3時間34分も停電が起こるのだ(ミネソタ大学調べ、アメリカ北東部)。

これは1984年から比べると3倍も悪化しているとのこと。



その主な原因はというと

1. Aging Infrastructure

2. Increased demand from hotter summers

3. Growing Cyber Threat




2013年6月11日火曜日

「意志の力」は有限、そして減っていく



「意志の力」とは減るものだったのか?

そんな研究結果が、フロリダ州立大学の心理学者ロイ・バウマイスター氏によってもたらされた。

「意志の力というものは、自動車のガソリンのようなものだ。つまり、使えばなくなっていく消耗品なのだ(WIRED)」



意志の力は「我慢」によって消耗していく。

学生たちを2組に分け、一つのグループには「チョコチップ・クッキー」を自由に食べることを許し、もう一方のグループには、それを指をくわえて見ているように、すなわち「我慢」するように命じた。

その後、我慢を強いられたグループは、「難しいパズル」を解くための力が残されていなかった。すぐに投げ出してしまったのだ。

一方、我慢という意志力を温存していたクッキー組は、ずっと長い時間、難しいパズルと向き合うことができた。彼らはクッキーを我慢しなかった分、そのエネルギーがまだ残されていたのだ。



このクッキーの実験が示すように、意志力は「食べもの」とも深い関わりがある。具体的には「グルコース(ブドウ糖)」が意志力のエネルギー源となる。

「つまり、食べ物を食べないでいるとグルコースが減少し、それに伴って意志の力も減少していくのだ(WIRED)」

これは皮肉なことだ。とりわけダイエットを継続することを難しくしてしまう。食べないという意志がグルコースの減少をもたらし、ダイエットへの意志をどんどんと弱めてしまうのだから。



「食べないでいるためには意志の力が必要だが、意志の力を得るためには食べることが必要なのだ」

この言葉は、バウマイスター氏と一緒に本を出版したジョン・ティアニー氏のものである。

もはやこれでは「禅問答」だ。



では、どうすれば意志の力をコントロールできるのか?

「まず、意志力は有限な資源なので、無理に手を広げすぎてはならない。決心は『一つ』にするべきだ」と彼らは言う。

そして、意志の力には「休息」も必要だ。

「たとえば1週間の禁煙などをやり遂げることができた場合、美味しい夕食を楽しむなどして、意志力を『一休み』させる」



「セルフ・コントロール(自制)が最もよくできている人は、一日中ずっと意志の力を使ってはいない。その力を節約できるように生活を構築している」

ジョン・ティアニー氏は、そう言っている。







 (了)






ソース:WIRED
「『意志の力』が減っていく理由」

2012年11月17日土曜日

省エネの「脳」、場所と電気を食う「コンピューター」


富士通のスーパーコンピューター「京(けい)」の計算速度は「人間の脳」の4倍、データ容量は10倍だという。しかし、「消費エネルギー」で比較すると、圧倒的に人間の脳のほうが「高効率」だ。

「人間の脳は信じがたいほど高効率で、消費エネルギーは『たいして明るくない電球1個分』にも満たない(約20W)」



スーパーコンピューター「京」の消費電力は990万W。人間の脳の50万倍近くの「エネルギー食い」である。

「京一台は1万世帯が使う電力量を消費する」



また、その占有するスペースも、人間の脳は「頭蓋骨の中にキチンと収まっている」のに対して、スーパーコンピューターはじつに巨大なスペースを必要とする。

「インターネットを構成する世界中のサーバーを集めると、小さな都市ほどのスペースになるだろう」



なるほど、生物の真価は「少ない資源で大したことをやってのける」ところにあるらしい。

「人間のヒトゲノムの情報量は、ノートパソコンのOSほどもない」



ネコほどの小さな額でもそうだ。

「ネコの脳ですら、最新のiPadを凌駕しており、データ量は1,000倍、速度は100万倍近い」

だいぶ薄くなったiPadだが、まだまだ薄くなる余地は残されているようだ。





ソース:日経 サイエンス 2012年 02月号
「コンピューターvs. 脳」


2012年9月19日水曜日

「原発ゼロ」に対応する原発3社


「東芝・日立・三菱重工」、この3社は世界有数の「原子力発電」プラント・メーカーだ。

日本では、ごく初期のものを除いて、すべての原発プラントがこの3社によって造られている。

しかし、日本が政策転換をした今、この3社は軌道修正を迫られることとなった。。



業界の幹部らによると、「国内でのビジネスの損失は、事業の軸足を『外国』に移すことで埋められる」という。

すでに東芝は、アメリカの原発メーカー「ウエスチング・ハウス」を54億ドル(4300億円)で買収しており(2006)、日立は「GE(ゼネラル・エレクトロニクス)」、三菱重工は「アレバ社(フランス)」とそれぞれ業務提携関係にある。

また、東芝が現在建設している原子炉は、すべて日本国外にある(アメリカと中国に4基ずつ)。しかし、トルコからの受注はリードを失った。それは、東京電力が手を引いたためだ。トルコなどの新興国では、プラントの建設のみならず、運転面での支援や金融面での支援などもセットになった「パッケージ取引」を求めてくるのである。



原発3社のうち、最も失うものが少ないのは「日立」だ。

日立の売上高は3社中最大であるにも関わらず、原発事業が売上に占める割合は3社中もっとも小さい。日立の売上全体のうち、原発の占める割合は2%にも満たない。一方の東芝や三菱重工は、この数字が10%にものぼる。



むしろ、日本のエネルギー方針転換は、日立の「追い風」となる可能性も高い。なぜなら、日立のエネルギー関連事業の売上高のうちの60%が「火力発電」であり、20%を再生可能エネルギーから得ている。原発は残りの20%を占めるにすぎない。

東芝と三菱重工も同様、天然ガス・タービンから太陽光パネル、風力発電タービンにいたるまで、「原子力に取って代わる発電技術」を数多く手がけている。これらの技術には今後、何十兆円もの新規投資が見込まれている。



東芝・日立・三菱重工、この3社は原子力がなくなっても、そう簡単には倒れない。多少、今までの目標が先送りにされるくらいだ(東芝は目標を2年繰り下げた)。

彼らの強みは、事業の多様性さにあるのである。事業バランスの見直しは今、急速に行われている。



出典:Financial Times
「『原発ゼロ』で対応を迫られる日本の原発メーカー」

2012年9月16日日曜日

人命の犠牲をともなうエネルギー生産


過去30年間における「発電にともなう死者数」をみると、先進国では「石炭」利用にともなう被害が最も大きい。とくに「採掘段階」が最も危険だ。石油と天然ガスでは、事故の大半が「配送段階」で起こっている。原子力では「発電段階」のリスクが大きい。



年間発電1億kWあたりの死者数(生産段階)

石炭………12.00人
石油………9.37人
天然ガス…7.19人
原子力……0.73人
水力………0.27人
風力………0.19人
太陽電池…0.02人

スイス、パウル・シェラー研究所調べ



しかし、人的被害で最も大きな部分を占めるのは、直接的な「事故」ではなく、より間接的な「環境汚染」によるものだという。たとえば、化石燃料を燃やす発電所から排出される「微粒子」による大気汚染は、深刻な健康被害をもたらしている。

肺炎(入院件数) 4,040
心血管障害(入院件数) 9,720
早死に 3万100
急性気管支炎 5万9,000
慢性気管支炎 60万3,000
仕事の欠勤 513万

以上、アメリカにおける1年あたりの平均件数。



出典:日経サイエンス 2011年 12月号
「エネルギーに伴う人的犠牲」