2012年9月12日水曜日

決死の外交。大久保利通

明治新政府が出発して間もなく、沖縄の漁民が台湾に漂着、殺戮されるという事件が起こった。その交渉に自分が行くと名乗り出たのが、新政府の中心にいた「大久保利通」だった。

交渉の相手は清国である。イギリス領事が仲介に乗り出し、賠償金の額を示す。だが大久保は、「日本が要求するのは金ではない、謝罪だ」、と主張する。相手の清国は近代化に踏み出した当時の日本など足元にも及ばない軍事大国である。それを相手に一歩も引かないのだ。そして結局は謝罪をとり、賠償金も取って交渉を妥結させるのである。

帰国した大久保が書いた漢詩がある。生きて帰れるとは思わなかったと、本当にホッとした気持ちが滲み出ている。外交とは、このような覚悟と緊張がなければならない。



抜粋:
致知2012年10月号
「歴史の教訓 連載第118回」渡部昇一

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