話:種田山頭火
一度行った土地へは、二度と行きたくない。
一度泊まった宿屋へは、二度と泊まりたくない。
一度読んだ本は、二度と見たくない。
一度遇った人には、二度と遇いたくない。
一度見た女は、二度と見たくない。
一度着た衣服は、二度と着たくない。
…
一度人間に生まれたから、
一度男に生まれたから、
一度この地に生まれたから、
一度この肉体この精神と生まれたから。
…
一度でなくして、二度となったとき、
それは私にとって千万度繰り返すものである。
終生□れ難い、離れ得ないものである。
引用:『夜長ノート』種田山頭火
0 件のコメント:
コメントを投稿