話:増谷文雄
仏陀が悟られて、しばらくしましたところに
「所作已(すで)に弁ず」
という言葉を吐いておられます。
このことを私は、もちろん昔から知っておりましたのですが、私の師の姉崎正治先生が定年で退職したときに、記念文集ができました。先生、何という名前をつけますかといったところが、「已弁集(いべんしゅう)」と名をつける、とこう言う。
変な名前だなと思ったのですが、”所作已に弁ず”というので、人は一生こうやってきて、”まあこれでいいわ”と思ったときには、こういう具合に言うのだなと感じたのです。私の先生は、定年退職しましたときに、所作已に弁ずと、こう言いましたわけです。
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出典:「鈴木大拙論」増谷文雄
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