2014年4月4日金曜日

窮鼠、猫をかむ [猫の妙術]


話:古猫


窮鼠かえって猫を噛むといふことあり。
追い詰められたネズミは、逆にネコを噛むということがある。


彼は必死に迫って恃(たの)むところなし。
そうしたネズミはまさに必死であり、誰かを頼りにするということがまるでない。


生を忘れ、慾を忘れ、勝負を必とせず、身を全うするの心なし。
もはや生きようとすることを忘れ、勝とうとも思わず、身を守ろうとすらしない。


ゆえにその志、金鉄のごとし。
だからこそ、その気概は金や鉄のごとく強靭である。


かくのごとき者は豈(あに)気勢をもって服するべけんや。
それほどの者を、どうして気の勢いだけで負かすことができようか。





引用:『猫の妙術』佚斎樗山


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