2016年4月26日火曜日

個を超えた写真 [柴田敏雄]



話:柴田敏雄








写真と出会ったのは、画家になりたいと思って入った芸大でのことです。ただ、そのとき興味を抱いていたのは版画で、写真はその素材として撮影していました。

卒業後、映画会社に就職したものの、やはり一人で作品をつくりたいと感じた私は、ベルギーに留学しました。そこで初めて、本格的に写真にとりくんだのです。





当時考えていた写真の一番の問題点は、写真でなにかを撮ると「その個体そのものが写ること」でした。

たとえば人なら、その人の個性に引っぱられてしまう。私が写真で表現したいのは、その個を超えた次元の異なる世界です。





私が写真をとるときは、「場を借りる」という意識をもち、その場その場に添うように作品を制作してきました。

めぐり会った被写体に「撮らせる力」を感じたときに、シャッターをきる。








出典:CANON PHOTO CIRCLE 2016 April




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