2020年8月15日土曜日

水車のおしえ『二宮翁夜話』


『二宮翁夜話』

第三 天道人道の辨

翁曰(いわく)、

夫(それ)人道は譬(タトヘ)ば、水車(ミヅグルマ)の如し。

其形半分は水流に順(シタガ)ひ、半分は水流に逆(さか)ふて輪廻す、丸に水中に入れば廻らずして流るべし、又水を離るれば廻る事あるべからず。

夫(それ)仏家に所謂(イワユル)知識の如く、世を離れ欲を捨(ステ)たるは、譬(タトヘ)ば水車の水を離れたるが如し、又凡俗の教義も聞(キカ)ず義務もしらず、私欲一偏に着(ヂヤク)するは、水車を丸に水中に沈めたるが如し、共に社会の用をなさず。

 故に人道は中庸を尊む、水車の中庸は、宜(ヨロシ)き程に水中に入て、半分は水に順(シタガ)ひ、半分は流水に逆昇りて、運転滞らざるにあり。

人の道もその如く天理に順ひて種を蒔き、天理に逆(サカ)ふて草を取り、欲に随(シタガヒ)て家業を励み、欲を制して義務を思ふべきなり



参考:

国会デジタルコレクション『二宮翁夜話』

 資料31 二宮尊徳 『二宮翁夜話』 (巻之一~巻之五)