2015年11月22日日曜日

生命史上、3回の大進化 [致知]



〜『致知』2015年12月号より〜





先日、上野の国立科学博物館で開催されていた『生命大躍進展』を見て、38億年前に地球の水中に生まれた単細胞生物が人類になるまで、3回の大躍進があったことを知った。





第一の大躍進は5億年前。

生命が目をもったことである。

地球に誕生した生命は、30億年以上ものあいだ、単細胞生命のままだった。約5億年前、なぜか遺伝子が4倍になり、余分の遺伝子が新しい機能を進化させ、複雑な形をした目をもつ生物が突如あらわれた。

その代表格はアノマロカリスという、エビのような形をした体長1mほどの肉食動物。高性能の目を武器に、獲物を巧みに捕らえた。よく見える目の獲得は、生存競争における優位性の獲得であったのだ。






第二の大躍進は、哺乳類が胎盤を獲得したこと

胎内で育てることで、赤ちゃんの生存率が高まったのである。

どうして胎盤を手に入れることができたのか。1億7千年前、その頃の哺乳類に強力なレトロウイルスが流行した。多くは命を落としたが、生き残った哺乳類の体内でレトロウイルスが生殖胎の内部に入り込み、ウイルスの遺伝子が組み込まれ、胎盤ができたのだという。

ウイルス感染という逆境が、生命を進化させたのだ。






第三は、哺乳類が大脳新皮質を獲得。

脳が大きくなったこと

脳の形成に働く遺伝子には、アクセルとブレーキの役割をするものがある。哺乳類は一時的にブレーキ遺伝子が故障し、それによって脳細胞が増殖、大脳新皮質が形成される要因になったという。

遺伝子の故障という不慮の事故で、人類は言葉と知性を獲得したのである。






村上和雄
「人間の持っている遺伝子情報は、一粒の米を60億に分けたほどの極小スペースに、1ページ千文字で、千ページある大百科辞典、3,200冊分が入っている」


桜井邦朋
「太陽の中心核では、4つの水素が融合して1つのヘリウムをつくるが、水素の質量の0.7%がエネルギーに転換して放出され、それによって太陽は輝いている。

この放出量が0.71%だったら星の進化スピードが早すぎて、太陽はすでにない。

0.69%だとスピードが遅くなりヘリウムが結合できず、137億年たっても炭素がつくられず、生命は生まれていない」






引用:『致知』2015年12月号
特集「人間という奇跡を生きる」




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