2014年3月3日月曜日

現場ありき [原丈人]


話:原丈人


 父から聞いた話ですが、労働争議が非常に激しかった昭和30年代、父は電力会社からエアコンの売り込みにあった際、本社ではなく、真っ先に”工場”に設置したそうです。その理由は、

「いちばん暑いところで働いているのは工員だ。本社の社員や役員は、扇風機があって涼しく仕事をしているのだから、エアコンなんかなくていい」

ということでした。私は、それを聞いたとき、「当然だ」と思ったのですが、その次に父が発した言葉がいまでも頭から離れません。

「工場を働きやすくすると、会社は儲かり、経営者にとっても社員にとっても幸せにつながる」と。

 父は発想が変わっていて、社用車にクーラーを設置するときも役員の社用車ではなく、トラックからクーラーを設置しはじめました。それも工場にクーラーを設置した理由と同じです。父は

「現場がいちばん欲しいことをするのが経営者だ」

ということをしきりに言っていました。





引用:原丈人『だれかを犠牲にする経済は、もういらない


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