「インターネットは『クール』ではない」
メディア論で知られるマーシャル・マクルーハンはそう言う。なぜなら、インターネットの情報が「視覚情報」、わけても「文字情報」に著しく偏っているためである。
彼の考えている「イケてる(クールな)メディア」というのは、「感覚を拡張してくれるメディア」である。その点、まだ「活字と画像」にとどまっているインターネットは、その範疇に入らないというのである。
「文字だけでは重要なことは伝わらない」
そう考えたのは古代ギリシャのソクラテスも同様であった。彼は本を書き残すことがなかった。それは「どう誤解されるか分からない」という理由からだ。それゆえ、実際に顔を合わせて、言葉を交わすことをソクラテスは好んだのである。
「文字」が招くのは、誤解ばかりではない。
「感覚の貧困化」を招くとマクルーハンは言う。感覚は拡張されるどころか、乏しくなっていくというのである。
その是非に関しては議論の分かれるところであるかもしれないが、他者との直接交流とは違うことだけは明らかだ。
「五感を超えた交感」
そんなインターネットであれば、マクルーハンも「クール」だと認めるのかもしれない。
出典:COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2012年 11月号
「市民運動は変化する」
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