2012年12月16日日曜日

「似て非なるもの」、ホウレン草と小松菜


漸減するホウレン草に対して、漸増する小松菜。

まだホウレン草にはかなわないものの、「小松菜の勢いは『主客転倒』の予感を感じさせる」。



「低温好き」のホウレン草に対して、小松菜は「猛暑に強い」。

それゆえ、猛暑の夏はホウレン草の品質を落とす一方で、小松菜の地位を高める。今年などは特にそうなった。



生産者にとって、小松菜は「楽」だ。

「ホウレン草よりも作り易く、反収(収量)も上がる」

ホウレン草は夏場に収量を落とすが、小松菜は年間を通じて安定した収量を保つことができる。



しかし、その安定供給ゆえに、小松菜の単価は一貫してホウレン草よりも安くなってしまう。ホウレン草のキロ400円超に対して、小松菜は300円を切る。

かえって、この小松菜の「割安さ」はそのまま消費者のメリットとなる。

アクの強いホウレン草は煮こぼしなどの手間がかかるが、小松菜は洗ってそのまま調理できる。この「簡便性」は忙しい主婦にとって大きな魅力ともなる。



似て非なるもの、それがホウレン草と小松菜。

これからの冬に向けては、一気に「ホウレン草の逆襲」が始まる。気温が下がるほどホウレン草の葉っぱは厚みを増し、その旨みをグッと増すからだ。厳冬期の「寒じめホウレン草」は鍋物に最高である。

一方、小松菜の食味は年中メリハリの乏しいものである。それでも、葉物野菜は「体に良い」という感覚先行で食される機会も多いため、その食味は二の次とされる傾向もある。



むしろ、小松菜の割安感と料理のし易さは、若い世代の心を大いにつかむ。

「スーパーでも家庭でも『常備の葉物野菜は小松菜』という地位を確立しつつあるようだ」

ホウレン草と小松菜の「主客転倒」、それは世代の交代であり、時代の流れなのかもしれない…。






出典:農業経営者2012年11月号
「猛暑後の秋期葉物野菜」

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