2015年4月12日日曜日

Microsoftの覚悟 [海老原昭]



話:海老原 昭





 Microsoftはサティア・ナデラ新CEOのもと、これまでの「Windows First」から

「Mobile First, Cloud First」

の戦略に切り替えている。こうした戦略の変更は、将来的には同社の主力製品であるWindowsすらも最優先ではなくなるという可能性まで含まれる。アップルはすでにOSを無償化しているし、モバイル環境ではOSが無償なのは当たり前だ。





 こうした路線変更は、当然Microsoftのような巨大企業にとっては簡単ではなかったはずだが、大きな犠牲を払ってでも新たな時代に対応しようという覚悟がうかがえる。そしてその覚悟は、同社の顧客に対しても突きつけられることになる。

 もともとMicrosoftは顧客の声を大事にし、過去の資産との下位互換性を非常に重視するメーカーだ。その徹底ぶりは、10年以上前のパソコンに、最新OSがまがりなりにもインストールできてしまうという点からも見てとれる。あまりに互換性を重視しすぎて、システムやインターフェイスが肥大化し、使いづらくなっていると批判されるほどだ。

 しかし、旧時代的なシステムに頼らず、現代的なWEBベースのシステムに移行するタイミングは、とうに訪れている。Microsoftが痛みをともなう改革を進めようとしているとき、ユーザ側としてもそろそろ古いシステムを捨てる、大きな決断を迫られているかのようだ。

 過去の資産や顧客の切り捨てというと、口さがないWindowsユーザからは「Appleのお家芸」のように言われてきたものだが、こんなところまでMicrosoftが似てくるというのは、なんとも皮肉なものを感じてしまう。








ソース:MacFan 2015年 05月号 [雑誌]
新しい「Office for Mac」が登場! Microsoftの新戦略を読み解く




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