2015年4月20日月曜日

シェルパ斉藤と「ケットラ(軽トラ)」



シェルパ斉藤は言う。

「軽トラをもってこそ、一人前の田舎モノと認められる」





田舎では「ケットラ」の呼び名で親しまれているという。

シェルパ斉藤「今年は田舎に移住してちょうど20年の節目だ。『田舎者としての成人』を迎えた記念に、待望の軽トラを買おうと決意した」

ケッパコ(軽のワンボックス)は持っていたが、ずっとケットラはなしでがんばってきたのだという。

シェルパ斉藤「モデルは『ホンダのアクティ』。軽トラで唯一エンジンを中央に配置したミッドシップで、『農道のフェラーリ』とも呼ばれる」






走行距離5万km以内、予算は50万円以内。

中古で探したところ、福岡県の中古車店で見つかった。

店主は言う。

「最初に電話を受けたときは驚きました。山梨から軽トラを取りに来るなんて信じられなかった。けど、ネットで斉藤さんの経歴をみて納得しました。日本全国を歩いたり、耕うん機で日本縦断するような人なら、福岡から山梨まで軽トラで帰っても不思議じゃない」






シェルパ斉藤「久保自動車の社長やスタッフたちは笑って僕を迎えてくれた。残金の50万円を支払い、スタッフ全員に見送られて軽トラに乗る。『それじゃ、お世話になりました』。軽快に発進…、のつもりが、いきなりエンストしてしまった。はずかしい! エンストするなんて若造かよ」

2度目は軽快に発進した。しかし運転席が窮屈だ。シートがリクライニングせず、リラックスした姿勢では運転できない。

シェルパ斉藤「でも走りはよかった。小気味よくエンジンが吹け上がるし、こまめにギアチェンジを繰り返してクラッチをつなぐマニュアル運転はやっぱり楽しい。すべてが楽チンな最新の乗用車と違って、『クルマを運転している充足感』がある」

「また、最初は窮屈に感じたシートも『これはこれで悪くない』と思えてきた。乗用車のシートが新幹線や特急列車だとすれば、軽トラのシートは『普通列車のボックス席』だ。シートの形状に合わせるように座っていると、背筋が伸びて疲れにくい気がしてくる」






「そうだ! 軽トラにカブを乗せて、ニッポンの村を旅すればいいんだ。最強のコンビじゃないか!」

二輪と四輪、どちらも「最小排気量」。

ともに「田舎の足」である。






シェルパ斉藤「カブは現地に着くまで時間がかかるけど、軽トラに乗せていけば高速道路も走れて、移動が楽だ。現地に着いたら、適当な場所に軽トラをとめてカブで回ればいい。『軽トラとカブ』の組み合わせで出かけたら、村人のウケもいいだろう」

とってもいい気分になったシェルパ斉藤。

のんびりと別府をめざした。










(了)






ソース:BE-PAL(ビ-パル) 2015年 05 月号 [雑誌]
シェルパ斉藤「九州の村を制覇! そして新たな旅がはじまる」



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