2015年4月22日水曜日
死にもの狂いの子供キャンプ、30泊31日
自然体験を提供するハローウッズ
子供向けに「30泊31日」というサバイバル的なキャンプがある。
プロデューサーの﨑野隆一郎さんは厳しい。
「火をおこせない班は、メシ抜きです。泣こうがわめこうが食わせない。4日間、水と栄養ドリンクしか飲めなかった子たちもいる」
火おこしというのは、錐(きり)もみ式だ。
「最後は執念だね。ちゃんとおこす。人間、死にもの狂いになれば何だってできる。それを実感してもらうキャンプなんだ」
﨑野さんは「ガキ大将が大人になったような人」。
鳥を見れば石を投げ、マムシを捕まえると皮をむいて、焼いて食べた。物心ついたときからポケットには肥後守(ナイフ)が入っていたという。
「確かに今は、刃物の扱い方がおかしな子が多いよ」
崎野さんは言う。魚を三枚におろさせると、手の熱で魚が白くなるほど握り続けたあげく、ボロボロにしてしまう。
「でも、それでいい。子どもにとって一番大事な経験は『失敗』だから」
キャンプの初日、子どもたち全員にナイフ(芦刃物製作所のLOG)がプレゼントされる。
「以前は折りたたみ式ナイフを持たせていたんだけど、毎日料理や作業に使うので、握りがしっかりしていて手入れが簡単なシース(鞘)式ステンレス・ナイフにしたんだ。”研ぎ”もさせるよ」
30泊も野外でキャンプ生活をつづけると、ナイフを持つ手は「昔のガキ大将と同じ水準」に戻るのだとか。
「子どもの本質って、昔も今もそう変わらないよ。死にもの狂いも技術を上達させるけど、上達の秘訣ってもう一つあるんだよね。それは『大人がカッコよく振る舞うこと』。たとえば、果物の皮をつながったままきれいに剥く。それだけで子どもの目って輝くんだ」
”子供は社会の合わせ鏡。子どもの指先が不器用になった原因は、大人がつくりあげた社会の側にある。今、死にもの狂いの体験をすべきは『高見から嘆いているだけの大人』なのかもしれない”
(BEPAL)
ソース:BE-PAL(ビ-パル) 2015年 05 月号 [雑誌]
フィールドナイフ列伝「ガキ大将養成ナイフ」
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