2013年2月27日水曜日

その正義は、人々を分裂させるだけなのか?



「正義をふりかざす人ほど、困った人はいない…」

そんなつぶやきが、被災地から漏れ聞こえてきた。

「一方的に放射能の恐怖などを声高に叫ばれても…」



正義を口走った時に生まれるのは、調和ではなかった。

「分裂」しか生み出さない…。



「だから、正義、正義とわめかないでほしい…」

それが正直、被災地の方々の本音だった。



詩人・田村隆一は、「木」という詩に、こんなフレーズを詠んでいる。

「木は愛とか正義とか、わめかないから好きだ」



太平洋を隔てた「正義の国」アメリカでは、弁護士ブライアン・スティーブンソンが、似たようなことをTEDの講演で訴えていた。

「この世界の大半で、貧困の対極にあるのは富ではありません。むしろ『正義』なのです」

この正義の国は、13歳の少年を死ぬまで牢屋に入れておくことのできる、世界で唯一の国。そして、殺人の被害者が黒人ではなく白人だと、11倍も死刑になる可能性が高まり、もし殺したのが黒人で、殺されたのが白人ならば、その確率は22倍にまで跳ね上がる。



「もし、その正義が分裂を生むだけならば、そんな正義は犬にでも食わせてしまえ」

そんな言葉も言いたくなろう。



先の詩人・田村隆一は、「ほんとうに木はわめかないのか?」と自問する。そして、こう答える。

「木は愛そのものだ。それでなかったら、小鳥が飛んできて、枝にとまるはずがない」

「正義そのものだ。それでなかったら、地下水を根から吸い上げて、空にかえすはずがない」






出典:致知2013年3月号
「人生を照らす言葉 鈴木秀子」

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