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2015年4月22日水曜日

死にもの狂いの子供キャンプ、30泊31日



自然体験を提供するハローウッズ

子供向けに「30泊31日」というサバイバル的なキャンプがある。



プロデューサーの﨑野隆一郎さんは厳しい。

「火をおこせない班は、メシ抜きです。泣こうがわめこうが食わせない。4日間、水と栄養ドリンクしか飲めなかった子たちもいる」

火おこしというのは、錐(きり)もみ式だ。






 「最後は執念だね。ちゃんとおこす。人間、死にもの狂いになれば何だってできる。それを実感してもらうキャンプなんだ」


﨑野さんは「ガキ大将が大人になったような人」。

鳥を見れば石を投げ、マムシを捕まえると皮をむいて、焼いて食べた。物心ついたときからポケットには肥後守(ナイフ)が入っていたという。






「確かに今は、刃物の扱い方がおかしな子が多いよ」

崎野さんは言う。魚を三枚におろさせると、手の熱で魚が白くなるほど握り続けたあげく、ボロボロにしてしまう。

「でも、それでいい。子どもにとって一番大事な経験は『失敗』だから」






キャンプの初日、子どもたち全員にナイフ(芦刃物製作所のLOG)がプレゼントされる。

「以前は折りたたみ式ナイフを持たせていたんだけど、毎日料理や作業に使うので、握りがしっかりしていて手入れが簡単なシース(鞘)式ステンレス・ナイフにしたんだ。”研ぎ”もさせるよ」


30泊も野外でキャンプ生活をつづけると、ナイフを持つ手は「昔のガキ大将と同じ水準」に戻るのだとか。

「子どもの本質って、昔も今もそう変わらないよ。死にもの狂いも技術を上達させるけど、上達の秘訣ってもう一つあるんだよね。それは『大人がカッコよく振る舞うこと』。たとえば、果物の皮をつながったままきれいに剥く。それだけで子どもの目って輝くんだ」






”子供は社会の合わせ鏡。子どもの指先が不器用になった原因は、大人がつくりあげた社会の側にある。今、死にもの狂いの体験をすべきは『高見から嘆いているだけの大人』なのかもしれない”
(BEPAL)







ソース:BE-PAL(ビ-パル) 2015年 05 月号 [雑誌]
フィールドナイフ列伝「ガキ大将養成ナイフ」



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2014年10月18日土曜日

仏教の「同時」 [足立大進]


〜話:足立大進〜


 幼い子供たちが庭で遊んでいた。その中の一人が急に転んで、わぁーんと泣き出した。見ていると、一人の女の子がそばに駆寄った。

 さて、女の子はどうするのだろう。こんな場合、二つのやり方が考えられます。一つは、黙って起こしてやる。もう一つは「さあ、起きなさい」と励ましてやる。このどっちであろうかと眺めていたら、意外にも女の子は、泣きじゃくっている子のそばにゴロンと転んだ。そして、泣き虫の顔を見て、ニッコリ笑いました。すると、泣いている男の子も、目にいっぱい涙をためたまま笑った。そこで女の子が「起きようか」と言うと、男の子は「うん」とうなずいて、そのまま起き上がった。よく晴れた日の、ほほえましい出来事でした。

 私もそうですが、子供を前にすると、つい上から見て、手を貸して起こしてやろうと思います。しかしこの小さな女の子は、泣いている男の子のそばに転んでニッコリ笑った。転んで泣き止まぬ子供のそばに自分も転んで、相手と同じ世界で「起きようか」と誘う。相手との苦しみの共感であり、相手と共同の場に生きる。仏教では「同時」と言う。人の苦しみや悲しみを、まったく同じように共感することはできませんが、少しでも同じ世界に近づく努力はできるのです。

…





出典:『即今只今』足立大進




2013年6月19日水曜日

仕事と家庭のバランス。男女の垣根を越えて



「lean in」という言葉は、「キャリア(仕事)に挑戦すること」を表す。

逆に「lean back」は、「仕事に挑戦しないこと」を意味する。



最近の女性は「lean in」を目指し、男性は「lean back」になっている。

そう話すのは、元外交官の女性「アン・マリー・スローター」さん(54歳)。

彼女を起用したのはヒラリー・クリントン国務長官(当時)であり、スローターさんは「女性初」の国務省政策企画本部長となった。



スローターさんは女性の国務長官の下で働いているにも関わらず、「自分が『結束の強い男性クラブ』にいる数少ない女性」であると感じたという。

「ワシントンは非常に『男性中心の場』です」と、スローターさんはため息をつく。

「トップが女性でも、その下層の人たちは非常に『男性中心のネットワーク』を構築しています。つまり、アメリカ政界はこうやって運営されているのです」



国務省で働いていた頃のスローターさんは、じつに多忙だった。

「夫や息子たちから離れ、週のうち5日間はワシントンに滞在しなくてはなりませんでした。時々、一回の出張で何週間も中東やアジア、ヨーロッパに行かなくてはなりません」

その2年間、「10代の息子2人のニーズを抱えて、職をこなすのは不可能だった」とスローターさんは言う。



フェイスブックの女性COO(最高執行責任者)である「シェリル・サンドバーグ」氏は、著書「Lean in」の中で、働く女性が家庭を犠牲にすることなく、出世する道のりを描いている。

しかし、スローターさんは「ワシントン(国務省)にいる時に私が直面した問題は、どれだけの野心があっても解決できないでしょう」と話す。



それでも、女性が「Lean in(キャリアに挑戦)」することに、スローターさんは賛同する。むしろ、スローターさんは「家庭では女性の方が優れている」という考えに納得できない。

「『専業主夫』になりたいという男性も大勢います」とスローターさんは言う。



実際、現在プリンストン大学で働くスローターさんは、夫であるモラフチークさんに14歳と16歳の二人の息子の世話をお願いすることも多いという。

かつてスローターさんがワシントンDC(国務省)にいた頃は、もっとずっと夫の子育てに頼っていたのである。夫・モラフチークさんは大学の教授であり、高級官僚よりはスケジュールが柔軟であった。

だが、世間の女性たちは「自分の子供をどのように面倒をみたらいいかを一番よく知っているのは自分だ」と思っている、とスローターさんは語る。



「lean in(キャリアに挑戦)」にしろ、「lean back(仕事から後退)」にしろ、それは男女の垣根で仕切るようなものではないのかもしれない。

少なくともスローターさんは、そう考えている。







(了)






ソース:The Wall Street Journal
「キャリア選択、女性だけでなく男性も全てを手に入れられない理由」

企業も働く父親も認めきれない「育児休暇」 [アメリカ]



「育メン」という言葉は、「育児をする父親」を指す。

だが、父親が子育てをすることは、社会通念の「認めぬところ」があるようだ。とくに働き盛りの男性にとっては。

そんなアメリカからの調査報告である。







今年4月、「米ヤフー」は、新たに子供をもうけた父親に「8週間の有給休暇(全額支給)」を認めると発表した。

銀行大手「バンク・オブ・アメリカ」では「12週間の育児休暇」を取得することができる。アーンスト・アンド・ヤングの場合は「6週間」だ。

The Wall Street Journal「調査結果によると、アメリカ企業の15%が新米の父親になんらかの有給休暇を提供している(全米人材マネジメント協会)」



だが「父親のほうが、休暇を取ることを渋っている」。

「職場で地位を失うかもしれない」という不安や、昔から根強い「父親としての固定観念」が、長期の休暇をとることを躊躇させるというのである。

たとえばスウェーデンやポルトガルでは、父親の育児休暇が「義務的」になっている。だが、アメリカはあくまで「自発的」なのである。

The Wall Street Journal「新米父親の約85%が育児休暇をとるが、その大半は『1〜2週間だけ』だという(ボストン・カレッジ調べ)」



たとえばアーンスト・アンド・ヤング社では、最大で「6週間の有給休暇」を提供しているにも関わらず、そうした父親たちの90%は「2週間」しか取らないという。

父親たちは「重要なプロジェクトに参加し損なうこと」を恐れ、メールや電話など在宅でも仕事をすることになる。

金融関係で働くギルバート・マドック氏は、息子が生まれた時に「1週間の育児休暇」をとったが、同氏は休みの間も結局「1日の40%」を仕事関係のことに費やしていたという。「営業色が強い仕事なので、ペースを落とすわけにはいかなかった」と同氏は語る。



また、ソフトウェア会社「ラウンドペッグ」には、新米の父親に「1ヶ月の有給休暇」を与えるという方針があった。

だが、共同創業者である「ブレント・デーリー」氏は、息子と娘が生まれた時、それぞれ「1週間」と「3日間」の育児休暇しか取らなかった。

デーリー氏は、その時の心情をこう語る。「出社しないと、チームを失望させることになると感じた。最後は、1つの仕事をまあまあ上手くやるか、2つの仕事をひどくお粗末にやるかの選択になった」と。







父親側に言わせると、「休暇が欲しくない」というわけではないらしい。

「仕事と家庭の間で、激しい葛藤を感じている」のである。

The Wall Street Journal「2008年に、仕事と家族への責任との間で葛藤を感じていると報告した共働き世帯の父親は60%だった。ちなみに1977年の数字は35%である(家族・労働研究所)」



「男性にとって仕事が最優先であり、すべての育児は女性がするもの」といった固定観念が、アメリカの企業に根強い。

もし、男性が「親業と仕事とを対等の立場に置く」とすれば、「ある種の烙印」を押されてしまう、と社会学者のスコット・コルトレーン氏(オレゴン大学)は指摘する。

The Wall Street Journal「親業をしていることが知られている男性の多くは、職場でプレッシャーをかけられたり、同僚に反感をもたれたりしている。積極的に子供の世話をしている男性は、からかわれたり、侮辱されたりすることが多い」



育メン父親は「意気地なしだ」とか、「妻のシリに敷かれている」といった中傷の的にされたりもするという。

また、「仕事への集中力を欠いている」とか、「仕事への献身度が低い」ともみなされがちだ。そして、そうした企業側の認識は「働く女性の出世」を妨げてきたものと同質のものである。

これは、Facebookの女性COO(最高執行責任者)である「シェリル・サンドバーグ」氏が、著書「Lean in(キャリアに挑戦)」で指摘したことでもある。女性が家庭生活を犠牲にすることなく出世することは、自由の国アメリカといえどもそう容易ではなく、それは育メン父親にも同じことが当てはまっているのである。







Facebookによるアンケート調査によれば、「世代間」でも父親育児の見解に相違があることがわかっている。

The Wall Street Journal「若い父親は育児休暇を『不可欠なものだ』と捉えている一方で、より年配の父親は『職場で烙印を押されることになる』と返答した」

最近の調査では、「男性幹部社員の4分の3が、育児休暇を『社員をつなぎ留める上での重要なツール』と考えていること」がわかった。



ある研究によれば、「長期の育児休暇」をとった父親は、仕事に復帰してから数ヶ月を経ても「子供の世話に熱心に取り組む」という結果が示されている。

それは同時に、産休後の母親の「仕事復帰」の可能性を高めることにもつながるという。







(了)






ソース:The Wall Street Journal
「父親たちはなぜ長期の育児休暇を取らないのか」


2013年5月6日月曜日

待機児童ゼロへの道。横浜方式とは?



「保育園に入れろーっ!」

いわゆる待機児童

認可保育園に申請しても入れない「待機児童」の数は、都市部を中心におよそ2万5,000人(はじめから申請を諦めているケースを含めると、数十万人にも上る)。







「そんなに時間をかけて待っていられません。状況は深刻です」

安倍首相がそう言う通り、政府は今後5年間で新に40万人分の保育の受け入れを確保し、「待機児童をゼロにする」という対策を打ち出した。



その成功モデルとなっているのが「横浜方式」。

「このいわゆる『横浜方式』を全国に横展開していきたい」と安倍首相もその決意を語る。

その横浜市、3年前の待機児童数は1,552人(2010年4月)と「全国最多」だった。そこから急速に解消したのは、「林文子(はやし・ふみこ)」氏が横浜市長に就任してから。



市長になる前は、ダイエーの会長兼CEOとして活躍していた林文子氏(ほかにBMWやニッサンなどの社長も歴任)。

彼女が横浜市長になって、わずか3年で「待機児童ゼロ」が見えてきている。

その手腕とは?



横浜市磯子区にある「おひさま保育園」

ここはいわゆる「無認可保育園」。国の認可がないだが、ほぼ満員。人気の秘訣はその立地。JRの駅がすぐそば。

しかし、たとえ需要が旺盛でも、国の認可を受けるのは難しい。



「認可を受けられないは、やっぱり庭がないからです」

そう話すのは、おひさま保育園の加藤光胤・代表取締役。

国の認可を受けるには、原則として「外で遊べる庭」が必要なのである。



これは皮肉なことだ。

子供を預けたい「働く女性」が多いのは都市部。それなのに、都市部の保育園は土地がなかなか確保できず、「庭」がない。だから認可が受けられない。







横浜市が目をつけたのは、この矛盾であった。

庭がなくとも需要が高い保育園を、横浜市が独自で「横浜保育室」として認定したのである。



「人件費などの約3分の2を、横浜市からの助成を受けています」

市独自の認定を受けた、おひさま保育園の加藤・代表取締役はそう語る。

こうした横浜保育室の利用料には上限が設けられており、月額5万8,100円(さらに所得に応じて、最大5,000円にまで軽減される)。横浜市では、こうした制度を運用し、3年間で新たに1万人収容できる保育施設を整備したのであった。



これが政府のロールモデルとする「横浜方式」。

それを「横展開」するのが、今後の方策。

さて、5年後の成果やいかに?





出典:テレビ東京WBS特集
「横浜方式とは 林文子・横浜市長」

2013年5月5日日曜日

「親思う心にまさる親心」北野武



北野武さんが芸能界に入って売れるようになった頃、お母さんから「カネをくれ」と言われたと言うんです。それからも何かにつけて法外なお金を要求されたと。

「とんでもない親だ」と思ったけれども、親には世話になったし、迷惑を掛けたのも事実だから、言われたままに出していたのだそうです。



そして、お母さんの命がもう何日もないという時に、軽井沢の病院に行った北野さんは、お母さんから「一冊の通帳」を渡されるんです。

帰りの新幹線の中で、その通帳を見た北野さんはビックリ。

「いままで渡していたお金が、全額入金されていた」

芸能界は浮き沈みの激しい世界ですから、お母さんとしては、息子が売れなくなった時のことを考えて、そっと蓄えておられたのでしょう。



「親思う心にまさる親心」

吉田松陰






引用:致知2013年6月号
「教化は国の急務なり 文部科学大臣・下村博文」

2013年4月19日金曜日

褒めるべきは、結果か努力か? 米研究



高い目標に挑戦する心を育むために何ができるのか。

1999年アメリカ教員連盟の機関誌に発表されたスタンフォード大学の教授、キャロル・S・デュエック(Carol S. Dweck)の実験を紹介しよう(Caution - Praise can be dangerousu)。



子供をAとBのグループに分け、知能テストを受けさせる。

採点後、Aグループには「問題に正解したあなたは素晴らしい」と『結果』を褒める。

Bグループには「問題を解くために努力したことが素晴らしい」と、結果ではなく『努力』を褒める。



次に、両方のグループに「難しい問題」と「簡単な問題」のどちらがやりたいかを問いかける。

すると、結果を褒められたAグループは、高い点数を取りやすい「簡単な問題(Easy)」を選び、挑戦する姿勢を失った。

一方、努力を褒められたBグループは「難しい問題(Hard)」にチャレンジする姿勢を見せた。



高い目標に挑む心は、結果よりも努力を評価することで育まれる。

この成果は今、日米の教育現場で活用されている。






引用:NHK「為末大が読み解く! 勝利へのセオリー」
「レスリング女子日本代表監督 栄和人」

2013年3月16日土曜日

二転三転、育児の常識。「花に心はあるのか?」



アフリカ・ウガンダのお母さんたちは「おむつ」を使わないという。

それを不思議に思った井深大氏、こう聞いた。

「どうして、赤ちゃんがウンチやオシッコをする前に分かるんですか?」



ウガンダのお母さんたちの答えは、じつに素っ気なかった。

「どうして、あなたには分からないの?」



母親と赤子が「密」な、同地のような育てられ方をした赤ちゃんは、「発達がすごく早い」のだという。

「生後2日で首がすわり、生後4日でニコニコ笑うんです」



今の医学では、生後2日で首がすわることも、生後4日で赤ちゃんが笑うなんてことも「あり得ない」。

たとえ、赤ちゃんの顔が笑っているように見えたとしても、それは「新生児微笑」にすぎないと一蹴されてしまう。西洋医学の言う新生児微笑とは、赤ちゃんが母親に捨てられないように、そう装っていることなのだそうだ。



さて、アフリカのウガンダも、すでに西洋の波に洗われている。

彼女らが西洋式の病院でお産をするようになると、これまた不思議なことに、赤ちゃんのウンチもオシッコも、そのタイミングが分からなくなるのだそうだ。

もちろん、生後2日で首がすわることも、生後4日でニコニコ笑うこともなくなったという。



ところ変わって「日本」。

日本の子育ても1945年、つまり第二次世界大戦を境に、激変を遂げたのだという。

戦後、アメリカのGHQの司令で、赤ちゃんは産後すぐに病院の新生児室に移すようになった。それは、戦前の日本では、ほとんどが自宅出産だったため、母子ともに死亡率が高かったからだ。



さらに昭和39年(1964)、赤ちゃんの自立を妨げるからという理由から、「泣いてもすぐに抱っこしてはいけません。添い寝もオッパイもやめましょう」ということになった。

要するに、戦後の日本の子育ては「赤ちゃんとお母さんを切り離す方向」に動いていったのである。

「赤ちゃんに心があるとしたら、きっと寂しかったろうと思います…」と、池川明氏(池川クリニック院長)は語る。



なぜ、そうした時代に生まれ育った世代は、すぐにキレるのか? 情緒が不安定なのか?

そうした疑問が国内に巻き起こるにつれ、「母子を切り離す育児法」は20年後、ついに改められることになる(その時の常識は、いまなお尾を引いているのだが…)。



ちなみに、戦後の育児法には、その「元本」があった。

それは「スポック博士の育児書」である。ここには西洋式の育児法のなんたるかが記されており、当然、抱っこも添い寝も否定していた。

その本を戦後の日本は鵜呑みにして、母子手帳の副読本「赤ちゃん、そのしあわせのために」を作成したのである。それが20年間、毎年全国で150万部が配布され、母子をできるだけ切り離す「育児の新常識」を形作っていったのであった。



この話には、まだ後日譚が残っている。

スポック博士は、著書「スポック博士の育児書」を書き上げたあと、じつは博士自らの手で7回も書き換えている。

最後の書き換えを終えた博士は、こう言った。「今まで書いてきたことは間違っていた。今回ようやく、それを正す本ができた」と。



7回書き換えられたという「スポック博士の育児書」。

しかし残念ながら、その初版を元にしている日本の母子手帳の副読本「赤ちゃん、そのしあわせのために」は、一度も書き換えられることがなかった…。







蛇足ながら、先日の「ダライ・ラマ法王」の話も。

来日した際に、持ち上がった議論の一つに「花に心はあるか?」というものがあった。

仏教と一口にいえど、時代と環境で大きく変わってしまっている。その結果、「花に心がある」とするのは日本の仏教だけのようであった。



古来より、日本民族は万物に神が宿る、ひいては「万物に心がある」との思想をもっている。

何もしゃべれぬ赤ちゃん然り、お腹にいる胎児も然り。日本人はそこにすでに心が宿っていると思ってきた。



しかしグローバル化の進んだ現代、「胎内にいた頃の記憶」などという話は、否定的な目で見られてしまう。

「パパがおへそをツンツンしてきたんだよ」などという子供の言葉は、冷笑ものである。それは西洋医学で証明されていないからである。

しかし幸か不幸か、そうした妄言を否定する科学的根拠も、またないのであった…。






出典:致知2013年4月号
「胎内記憶に耳を澄ます 池川明・村上和雄」

2012年11月4日日曜日

「なぜか」、訓練通りに避難しなかった子供たち。東日本大震災



東日本大震災による「大津波」に襲われた、ある小学校での話。

その小学校ではたまたま大震災の3日前に「避難訓練」をしていたこともあり、子供たちも上級生と下級生が手を取り合って、わりとスムーズに避難を開始することができた。



ところが、避難先である裏山に入った頃から、子供たちの動きがおかしくなり始める。

先頭を行く子供たちが、「行くはずでない別の山」へ向かって走っていくではないか!



あわてた担任の先生は、声を枯らして先頭の子供たちに叫びかける。

「おーーーいっ! そっちじゃないぞーーーっ! そっちは危険だーーーっ!!」

しかし、その叫び虚しく、先頭の子供たちはひたすらに「別の山」へと走り続ける。



事ここに至りてはやむなし。

その担任の先生も観念する。「自分一人だけが生き残るわけにはいかない…!」。そして、一心に子供たちの後を追い続ける。それが間違った道だと知りながら…、少しでも高い所へと…。



ところが、天は思わぬ形で子供たちに味方していた。

ふと、先生が後ろを振り返って見ると、はじめに避難するはずだった山が、すっかり津波に飲み込まれているではないか!

もし、訓練通りにその山へと避難していたら、全員が全員、大津波の餌食となってしまうところだった…。



なぜ、子供たちは訓練通りの山に避難しなかったかのか?

それは「動物的な直感」だったのか?

いまだ、その真相は謎である。



ある古老は語る。

「普段は何かに覆われて見えなくなっているけれども、人間には深い深い智慧がある…」





出典:致知2012年12月号
「無常の中の幸福を探る」

2012年10月15日月曜日

やさしさこそが大切で、悲しさこそが美しい



「やさしさこそが大切で

 悲しさこそが美しい」



これは、山田康文くんの詩の一節。彼は生まれた時から全身が不自由で、口も利けなかった。重度の脳性麻痺である。



「ぼくさえ生まれなかったら

 かあさんの白髪もなかったろうね

 大きくなったこのぼくを

 背負って歩く悲しさも

 『かたわな子だね』とふりかえる

 つめたい視線に泣くことも」



生前、ひと言の言葉も発し得なかった少年。

養護学校の先生の気の遠くなるような作業がなかったら、この詩が生まれることはなかった。

この詩を書き上げた2ヶ月後、少年は元いたところへ帰って逝った…。





出典:心に響く小さな5つの物語 (小さな人生論シリーズ)

2012年9月29日土曜日

ムカサリ絵馬とは?



山寺・立石寺に納められている不思議な絵馬。

「ムカサリ絵馬」

ムカサリは古い言葉で「結婚」を意味する。描かれている花嫁や花婿はこの世にはいない。わが子と死に別れた親たちが、子供が生きていたら適齢期を迎える頃、絵馬の中で結婚を祝うのである。



ムカサリ絵馬を描く人が今もいる。絵師・高橋知佳子さん。遺族に頼まれ、これまで100以上の絵馬を手がけてきたという。

今描いているのは、16歳で亡くなった少年。遺影を元に、成人した姿を思い描く。



少年の母親が絵馬を受け取りに来る。

「おめでとうございます」

「喜んでるかね? ちょうど命日なんで…。こんなキレイな花嫁さんを娶ったら、もう親としては…。優しい子だったからね…」



遠く隔たってしまった親と子、あの世とこの世。

二つの世界を繋ぎ止めるのが、このムカサリ絵馬である。






出典:NHK新日本風土記「奥の細道」

2012年9月16日日曜日

「聞くだけ」ではなく、「演奏」を。脳の訓練


子供たちは「楽器」を熱心に練習すると、学業成績も良くなるかもしれない。

「タイガー・マザー」の著者であるチュアは、バイオリンとピアノを娘たちに毎日何時間も練習させたという。楽器の練習が注意力と作動記憶、自己コントロール力を高めるためだという。

ノースウェスタン大学のクラウスは、脳波データを用いた研究により、音楽の練習が生徒たちに「聞き上手」になることを示した。音楽の訓練を受けた人々は、教室などザワザワと騒々しい環境でも、話を抽出して聞くことができる。これは、音楽家がそうでない人よりも音をクリアに知覚できるのと同じである。



また、クラウスの別の研究では、「脳トレゲーム」よりも「ギター」が有益であることも示した。「ギターを演奏するには、曲を覚え、辛い練習を重ねて、何度も何度も再現を試みる必要がある」。

数年前、モーツアルトを聞かせるだけで乳幼児の知能を伸ばすというブームがあったが、それは最新の研究では否定されている。「何らかの効果を上げるには、実際に楽器を演奏して脳を鍛える必要がある」とクラウスは言う。

「演奏を練習すればするほど、音の微妙な違いを区別する能力が磨かれるのであって、聞くだけでは不十分だ」とのことである。



出典:日経サイエンス 2011年 12月号
「脳科学が教える 学び上手にする方法」

自由とは、「自らを由(よし)とすること」



小さな子供が三人もいれば、自分の時間など一分たりともありません。私は生まれて初めて、自分の力ではどうにもならないことがあることを知りました。

「自由とは何だろう?」と、何度も声にならない雄叫びをあげました。そして、気づきました。

自由とは、欲するままに行動することではないのだと。自由とは「自らを由(よし)とすること」なのだと。



私は心がまったく身動き取れず、暗闇の中で模索した時期を経て、自由の本質に気づかせてもらいました。これは、自分のやりたいことを一度すべて手放したからこそ、見えた境地なのではないかと感じています。

かく言う私も、心より知、受容より競争に明け暮れた時代がありました。今、我が子らに願うことは、決して知恵や知識をたくさん身につけ、他人に勝って欲しいということではありません。





抜粋:致知2012年10月号
「人も企業も幸せに導く天地の法則」北山邦子

2012年9月13日木曜日

科学者たる幼児

「青いおはじき」と「白いおはじき」が4:1で入っている容器から、一握りつかみ出して見せ、それが「白だけ」だったら、生後8ヶ月の幼児でも驚きの表情を見せる。

幼児期には誰もが示す「科学的直感」、幼児は「科学者のように思考している」のである。その感覚は次第に失われていくのだが…。



抜粋:
日経サイエンス 2011年 12月号
海外ウォッチ「子どもの遊びは科学実験」