2013年9月20日金曜日

家族みんなで自転車1,000km。スウェーデンの夏



すごい荷物だ!

一家の長である父親の自転車は、装着できるだけのバッグが目一杯。そのうえ、これまたバッグ満載のキャリーカーまで牽いている。

”なにかに没頭したように走る姿は、古代の騎馬戦車を駆る兵士のようだ(BE-PAL)”



「200kg以上はあるよ」と、ブロンド・ヘアーの父親は平然と言う。

「家族のテント、炊事道具、着替え、食料、水…」

6週間の夏休みのうち、4週間を使って家族と自転車旅行をして回っているのだという。ドイツから1,000kmを走り、スウェーデンに入ったところだった。



家族は全部で5人。夫婦と子供3人。子供はみんな小学生で、一番小さい女の子はまだ7歳。

それぞれの体力に応じて、家族の荷物は見事に分散されている。恐ろしく重い父親の自転車は言わずもがな、7歳の女の子の小さな自転車にも「ありったけのぬいぐるみ」がくくりつけられている。

”この荷物の配分を理解するだけでも、子供たちには素晴らしい教育になるだろう(BE-PAL)”



「毎日の泊まる場所は、まったく決めてないよ」と、父親は言う。

ここスウェーデンには「アッレマンスレット(自然はみんなのもの)」という法律があって、国中のどこにでもテントを張っていいのだという。

「目的地? ないよ。行けるとこまでさ」



夫婦ともにドイツの大学で教鞭をとっているというが、この家族にとっての教育とは、そういうことだ。

父親に「一番大切なものは?」と聞くと

「水だよ」と、きわめて現実的な答えが返ってきた。



「世界で一番美しい」といわれるスウェーデンの夏。

田舎道をひた走る、家族5台の自転車。

夏草の甘い香りが吹き抜ける。













(了)






ソース:BEーPAL (ビーパル) 2012年 12月号 [雑誌]
「ベルリン小学生の夏休み」


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