2012年10月28日日曜日

忘却という「黒いページ」



人間にとって「忘れる」ということは、いかにも困ったことでありながら、なんとも有り難いことでもある。

中国の老荘思想は、忘れることに「衆生の救い」を見出し、ドイツの諺は「どうにもならぬことを忘れるのは幸福だ」と諭す。



カーライルは、こう言った。

「忘却は『黒いページ』で、記憶はこの黒いページの上に輝く文字を記して、読み易くする。もし、それことごとく光明であったら、何も読めはしない」





出典:「経世瑣言」安岡正篤

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