2012年10月3日水曜日

足下の泉。宮本輝



「どんな人に出会うかは『自分次第』なんですよ。そう思いません?

運の悪い人は、知り合う人もやっぱり運が悪い。ヤクザの下にはヤクザが集まる。性悪女は性悪男とくっつく。これは不思議なものです。仮に性格のいい人と付き合っても、次第に離れていきます。

だから、『嫁さんは立派だけど、亭主はねぇ…』なんていうことはなくて、家庭の中に入ってみたら、みんな似たもの同士ですよ。どちらか一方だけが悪いなんていうことはない。



それを分かりやすく言うと、『命の器』だと僕は言うんです。

どんな人に出会い、どんな人と縁を結んでいくのか。それはその人の『命の器』次第ということです。

その出会いの質を変えるには、自分が変わるしかないんです。



『足下を掘れ、そこに泉あり』という言葉がありますが、みんな自分の足元を掘っていたら必ず泉が湧いてくることを忘れているんです。

『あっちに行ったら水が出ないか、向こうに行ったら井戸がないか』と思っているけど、実は自分の足元なんです」





抜粋:致知2012年11月号
「作家・宮本輝さんに聞く 人生、山河あり」

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