2018年4月29日日曜日
10歳のころの記憶を忘れない理由
話:レイ・カーツワイル
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ニューヨーク大学医学部の神経生物学者、ウェン・ビヤオ・ガンは、成体マウスの視覚皮質スパインを観察し、スパインのメカニズムに長期記憶が保持されうることを示した。
「たとえば10歳の子どもが、ある情報を保存するのに1,000個のニューロン間結合をつかっているとします。その子が80歳になったとき、いかなる変化が起きていても、結合の4分の1はまだ存在しています。こういうわけで、子ども頃の体験をずっと覚えていられるのです」
ガンはさらに説明をつづける。
「学習して記憶するにあたって、新しいシナプスをたくさん作って古いシナプスを捨てる必要は実際にはないだろう、というのが我々の考えでした。短期の学習や記憶のためには、すでに存在するシナプスの強度を修正するだけでいいと。ところが、長期記憶を達成するために、少数の新しいシナプスが作られたり、取り除かれたりすることもあるようなのです」
接続の4分の3がなくなっても記憶が損なわれない理由は、符号化という方法が、ホログラムの方法と似た性質をもつからのようだ。
ホログラムでは、情報は、広範囲に拡散されたパターンの中に保存されている。ホログラムの4分の3を破壊しても、解像度は4分の1にはなるが、全体のイメージは損なわれない。
レッドウッド神経科学研究所の神経学者、ペンッティ・カネルヴァによる研究からは、記憶はニューロンの集合全体を通じて広範囲に動的に分配されている、という考えが導き出されている。これでなぜ、古い記憶が「色あせ」(記憶の解像度が減少するから)ながらも持続するのかがわかる。
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From:
『シンギュラリティは近い』
レイ・カーツワイル著
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