2018年4月28日土曜日

「イラッ!」としたらば…


From:
Samga Japan Vol.29





話:バンテ・ボーディダンマ




あなたはイライラする瞬間に気づきますか?

たとえば、このような場面をみてみましょう。

あなたはリトリートに参加して瞑想しています。静けさのなか、心がゆっくりと落ち着いていくのを感じています。その時、ドタバタと遅れた人が部屋に入ってきました。

「なんと不注意な!」

あなたは深く息を吸って、気を取り直し、ゆっくりと集中を高めていきます。すると今度は、すぐ背後で誰かが大きく咳をしました。これにはやはり、イラッとします。

さらには、数々の無明のベールを通り抜け、いよいよ真理の深みに到達せんとする、その時、力強いクシャミが鳴り放たれます。…もう、たくさんです。

「ここにいる瞑想者には、マナーというものがないのか!」

このような小さな苛立ちが起こったら、ただちに他の誰も自分を怒らせることはできないことを思い出さなければいけません。そして、邪魔をした人に心から感謝をしましょう。なぜなら、その人はそうと知らずに、私たちがどこでつまずいているかを教えてくれたからです。



ヴィパッサナー瞑想を正しく行じるならば、私たちをイラッとさせるものなど、何ひとつないでしょう。「イラッ」とする感覚それ自体も、観照され経験される瞑想の対象になるからです。

もし、瞑想の邪魔をされたと感じてイラッとしたときは、修行に対して狭い視野になっていないか、確認しましょう。「修行はこうあるべきだ」「瞑想者ならこうするべきだ」といった理想に陥っている自分の心の状態に気づいてください。

これらの「~すべき」「~ねばならない」などの言葉は、自分のつくりあげる「理想」から生まれます。そして、この理想に縛られた狭い視点をよりどころに、私たちは関わる人や事柄を思い通りにしようと試みます。それは瞑想意外の時間、日常の生活のいたる場所で当然おこることです。



私たちの注意を引きつけながら、森羅万象は生じては消えてゆきます。

今日一日、明晰な気づきの内にとどまって、すべての「すべき」と「ねばならない」を捨ててしまいましょう。



「すべての現象は過ぎ去っていく」ということを、もう一度思い出してください。






From:
Samga Japan Vol.29

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