2018年5月20日日曜日

落ちて下になるのは、バター面か?


From:
日経サイエンス2017年6月号
S.マースキー
「5秒ルール」を考える





コメディアンのブースラー(Elayne Boosler)は、豊富な人間経験についてこんな話をした。

「母は掃除が大の自慢で、いつも『うちの床に落ちたものは食べても大丈夫だよ』と言っていた」

「わたしんちの床も食べられる。どっさり落ちてるから」





テレビアニメ『ザ・シンプソンズ』のホーマーは、床に落ちている一切れのパイを見つけて言った。

「うまそうなフロア・パイ!」




さらにテレビドラマ『フレンズ』には、こんなのがあった。

レイチェルとチャンドラーが、玄関の床に落ちた厚切りのチーズケーキをつついて食べているところに、ジョーイがやってきて腰をおろし、ポケットからフォークを取りだして言う。

「いいねえ、なんのごちそう?」





ここで思い出すのは、バターを塗ったパンを落とした際に、バター塗り面が上になって着地したことに不安をおぼえたユダヤの老人についての有名な話だ。

ベタベタのバターが床に触れずにすむのは幸運に思えるかもしれない。だが、この世は憂き世であるからして、この老人は

「宇宙が創造主の遠大なる永遠の計画にそって機能していないのではないか」

と不安になった。そこで老人はラビに相談した。ラビは数日にわたって研究と熟慮を重ねたすえに、科学的な説明にたどりついた。いわく、

「バターを塗る面が間違っていたのである」





いずれにせよ、わたしの場合、下になるのは決まってバターを塗ったほうの面だ。





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日経サイエンス2017年6月号
S.マースキー
「5秒ルール」を考える

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