2018年5月9日水曜日

決断する0.3秒前には…【意識の幻想】


話:レイ・カーツワイル
シンギュラリティは近い





人間の脳のもうひとつの重要な特性は、予測を立てる能力だ。これには、みあずからの判断や行動の結果を予測することも含まれる。予測は、大脳皮質の主要な機能だと考える科学者もいる。ただし、小脳も、運動の予測においては大きな役割を果たしている。

興味深いことに、われわれは、自身の判断を予測したり予期したりすることができる。カリフォルニア大学デーヴィス校の生理学教授ベンジャミン・リベットは、ある行動を開始させるニューロンの活動は、脳がその行動をとろうと決断する約3分の1秒前に実際に起こっている、ということを明らかにした。

これは、決断したつもりのことも、そのじつ幻想であるにすぎず、「意識はループから外れている」〔意識が「決断」する前に脳が命令している〕ということを意味している、とリベットは言う。

認知科学者で哲学者のダニエル・デネットは、この現象を次のように解説している、「行動はもともと、脳のある部分でとつぜん引き起こされ、信号が筋肉に飛ばされるものなのだが、途中で一息入れて、意識の代理人であるあなたに、なにが起きているのかを教えてくれる(ただし、気が回る役員よろしく、いばりくさった社長のあなたが、自分がそれを始めたのだという幻想をもてるようにしてくれる)」

これに関連した実験が最近行われた。神経生理学者が、脳各地点を電子的に刺激して、特定の感情を誘発させた。被験者はすぐに、そうした感情を覚えた理由を説明した。左右の脳の連結がなくなった患者は、片側の脳(たいていはしゃべるのが上手な左側)が、もう片方が身体に出した脳の指令によって生じた行動について、あたかも左脳が右脳の広報担当者であるかのように、手の込んだ説明(「作話」)をでっちあげる。このことは、もうずいぶん以前から知られている。





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レイ・カーツワイル
シンギュラリティは近い

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