2013年5月22日水曜日

漢詩・短歌・俳句・川柳 4月




簷声止処松声起 (簷声止むところ 松声起こり)

魚眼生時蟹眼眠 (魚眼生ずる時 蟹眼眠る)



漢詩「煎茗」北口昌將(部分)



簷声(えんせい)とは「軒の雨だれ(簷滴)の落ちる音」、松声(しょうせい)とは「風になびく松葉がたてる低い音色」。

魚眼・蟹眼とは「魚の眼は大きく、蟹の眼は小さい。それぞれ茶釜の湯の煮えたぎる具合をあらわす」。






瞳瞳日上草堂春 (瞳瞳日上る 草堂の春)

瓶裏梅花一笑新 (瓶裏の梅花 一笑新たなり)



漢詩「癸巳元旦」青野博芳






短歌



ふっさりと ふっさりと 降りつづく雪 眺めて過ごす 無為の時

おのでらゆきお



葉書より はみ出し 勢ひあまりあまる 五歳児 曾孫の 賀状が届く

高松こと



わが舞へる テープをいくども 見てくれし 夫は居まさず 七度目の冬

中西勝美



つきたての 餡入り餅を ひとつまみ 口一杯に よもぎの味す

赤畑博






俳句



冬の川 痩せさらばひて 海に入る

照井青仁



寒鯉の ゆらりと浮きし 泥けむり

渡辺トシ



本堂に 続く箒目 うすら雪

立石節子



春着の子 双手広げて 鶴になる

香山たみを



みどり児の 泣き顔囲む 初笑

岩澤庄司



みつみつと 初雪の音 靴裏に

中島大隅






川柳



野暮用に 時間は痩せて ゆくばかり

荒巻重義



無言劇 空気はうすく うすくなる

加藤友三郎



悪癖も 真似をしている 影法師

水野正明



へそくりを 発見したい 大掃除

島津源之



初詣 一円玉を 探してる

北郷聖






出典:大法輪2013年4月号

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