2013年6月19日水曜日

企業も働く父親も認めきれない「育児休暇」 [アメリカ]



「育メン」という言葉は、「育児をする父親」を指す。

だが、父親が子育てをすることは、社会通念の「認めぬところ」があるようだ。とくに働き盛りの男性にとっては。

そんなアメリカからの調査報告である。







今年4月、「米ヤフー」は、新たに子供をもうけた父親に「8週間の有給休暇(全額支給)」を認めると発表した。

銀行大手「バンク・オブ・アメリカ」では「12週間の育児休暇」を取得することができる。アーンスト・アンド・ヤングの場合は「6週間」だ。

The Wall Street Journal「調査結果によると、アメリカ企業の15%が新米の父親になんらかの有給休暇を提供している(全米人材マネジメント協会)」



だが「父親のほうが、休暇を取ることを渋っている」。

「職場で地位を失うかもしれない」という不安や、昔から根強い「父親としての固定観念」が、長期の休暇をとることを躊躇させるというのである。

たとえばスウェーデンやポルトガルでは、父親の育児休暇が「義務的」になっている。だが、アメリカはあくまで「自発的」なのである。

The Wall Street Journal「新米父親の約85%が育児休暇をとるが、その大半は『1〜2週間だけ』だという(ボストン・カレッジ調べ)」



たとえばアーンスト・アンド・ヤング社では、最大で「6週間の有給休暇」を提供しているにも関わらず、そうした父親たちの90%は「2週間」しか取らないという。

父親たちは「重要なプロジェクトに参加し損なうこと」を恐れ、メールや電話など在宅でも仕事をすることになる。

金融関係で働くギルバート・マドック氏は、息子が生まれた時に「1週間の育児休暇」をとったが、同氏は休みの間も結局「1日の40%」を仕事関係のことに費やしていたという。「営業色が強い仕事なので、ペースを落とすわけにはいかなかった」と同氏は語る。



また、ソフトウェア会社「ラウンドペッグ」には、新米の父親に「1ヶ月の有給休暇」を与えるという方針があった。

だが、共同創業者である「ブレント・デーリー」氏は、息子と娘が生まれた時、それぞれ「1週間」と「3日間」の育児休暇しか取らなかった。

デーリー氏は、その時の心情をこう語る。「出社しないと、チームを失望させることになると感じた。最後は、1つの仕事をまあまあ上手くやるか、2つの仕事をひどくお粗末にやるかの選択になった」と。







父親側に言わせると、「休暇が欲しくない」というわけではないらしい。

「仕事と家庭の間で、激しい葛藤を感じている」のである。

The Wall Street Journal「2008年に、仕事と家族への責任との間で葛藤を感じていると報告した共働き世帯の父親は60%だった。ちなみに1977年の数字は35%である(家族・労働研究所)」



「男性にとって仕事が最優先であり、すべての育児は女性がするもの」といった固定観念が、アメリカの企業に根強い。

もし、男性が「親業と仕事とを対等の立場に置く」とすれば、「ある種の烙印」を押されてしまう、と社会学者のスコット・コルトレーン氏(オレゴン大学)は指摘する。

The Wall Street Journal「親業をしていることが知られている男性の多くは、職場でプレッシャーをかけられたり、同僚に反感をもたれたりしている。積極的に子供の世話をしている男性は、からかわれたり、侮辱されたりすることが多い」



育メン父親は「意気地なしだ」とか、「妻のシリに敷かれている」といった中傷の的にされたりもするという。

また、「仕事への集中力を欠いている」とか、「仕事への献身度が低い」ともみなされがちだ。そして、そうした企業側の認識は「働く女性の出世」を妨げてきたものと同質のものである。

これは、Facebookの女性COO(最高執行責任者)である「シェリル・サンドバーグ」氏が、著書「Lean in(キャリアに挑戦)」で指摘したことでもある。女性が家庭生活を犠牲にすることなく出世することは、自由の国アメリカといえどもそう容易ではなく、それは育メン父親にも同じことが当てはまっているのである。







Facebookによるアンケート調査によれば、「世代間」でも父親育児の見解に相違があることがわかっている。

The Wall Street Journal「若い父親は育児休暇を『不可欠なものだ』と捉えている一方で、より年配の父親は『職場で烙印を押されることになる』と返答した」

最近の調査では、「男性幹部社員の4分の3が、育児休暇を『社員をつなぎ留める上での重要なツール』と考えていること」がわかった。



ある研究によれば、「長期の育児休暇」をとった父親は、仕事に復帰してから数ヶ月を経ても「子供の世話に熱心に取り組む」という結果が示されている。

それは同時に、産休後の母親の「仕事復帰」の可能性を高めることにもつながるという。







(了)






ソース:The Wall Street Journal
父親たちはなぜ長期の育児休暇を取らないのか


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