2013年6月19日水曜日

仕事と家庭のバランス。男女の垣根を越えて



「lean in」という言葉は、「キャリア(仕事)に挑戦すること」を表す。

逆に「lean back」は、「仕事に挑戦しないこと」を意味する。



最近の女性は「lean in」を目指し、男性は「lean back」になっている。

そう話すのは、元外交官の女性「アン・マリー・スローター」さん(54歳)。

彼女を起用したのはヒラリー・クリントン国務長官(当時)であり、スローターさんは「女性初」の国務省政策企画本部長となった。



スローターさんは女性の国務長官の下で働いているにも関わらず、「自分が『結束の強い男性クラブ』にいる数少ない女性」であると感じたという。

「ワシントンは非常に『男性中心の場』です」と、スローターさんはため息をつく。

「トップが女性でも、その下層の人たちは非常に『男性中心のネットワーク』を構築しています。つまり、アメリカ政界はこうやって運営されているのです」



国務省で働いていた頃のスローターさんは、じつに多忙だった。

「夫や息子たちから離れ、週のうち5日間はワシントンに滞在しなくてはなりませんでした。時々、一回の出張で何週間も中東やアジア、ヨーロッパに行かなくてはなりません」

その2年間、「10代の息子2人のニーズを抱えて、職をこなすのは不可能だった」とスローターさんは言う。



フェイスブックの女性COO(最高執行責任者)である「シェリル・サンドバーグ」氏は、著書「Lean in」の中で、働く女性が家庭を犠牲にすることなく、出世する道のりを描いている。

しかし、スローターさんは「ワシントン(国務省)にいる時に私が直面した問題は、どれだけの野心があっても解決できないでしょう」と話す。



それでも、女性が「Lean in(キャリアに挑戦)」することに、スローターさんは賛同する。むしろ、スローターさんは「家庭では女性の方が優れている」という考えに納得できない。

「『専業主夫』になりたいという男性も大勢います」とスローターさんは言う。



実際、現在プリンストン大学で働くスローターさんは、夫であるモラフチークさんに14歳と16歳の二人の息子の世話をお願いすることも多いという。

かつてスローターさんがワシントンDC(国務省)にいた頃は、もっとずっと夫の子育てに頼っていたのである。夫・モラフチークさんは大学の教授であり、高級官僚よりはスケジュールが柔軟であった。

だが、世間の女性たちは「自分の子供をどのように面倒をみたらいいかを一番よく知っているのは自分だ」と思っている、とスローターさんは語る。



「lean in(キャリアに挑戦)」にしろ、「lean back(仕事から後退)」にしろ、それは男女の垣根で仕切るようなものではないのかもしれない。

少なくともスローターさんは、そう考えている。







(了)






ソース:The Wall Street Journal
キャリア選択、女性だけでなく男性も全てを手に入れられない理由

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