金次郎(二宮尊徳)の教えで有名な「たらいの水の話」というのがありますね。
水を自分のほうに引き寄せようとすると向こうへ逃げてしまうけれども、相手にあげようと押しやれば自分のほうに戻ってくる。だから人に譲らなければいけないと。
けれども、この話には実は前段があるんです。人間は皆「空っぽのたらい」のような状態で生まれてくる。つまり最初は財産も能力も何も持たずに生まれてくるというのが前段にあるのです。
そして、その”たらい”に自然やたくさんの人たちが水を満たしてくれる。その水の有り難さに気づいた人だけが他人にあげたくなり、誰かに幸せになってほしいと感じて水を相手のほうに押しやろうとするんです。
そして幸せというのは、自分はもう要りませんと他人に譲ってもまた戻ってくるし、絶対に自分から離れないものだけれども、その水を自分のものだと考えたり、水を満たしてもらうことを当たり前と錯覚して、足りない足りない、もっともっととかき集めようとすると、幸せが逃げていくんだというたとえ話だと教わったんです。
話:中桐麻里子(二宮尊徳、七代目子孫)
引用:致知2013年9月号
「二宮尊徳の残した教え」
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