行者の世界には「行者帰りの精神」というのがあるそうだが…。
昔、修験道を開いた役行者(えんのぎょうじゃ)という人が、行の途中で「このまま進んだら自分の命が危ない」と判断して引き返してきたという難所がある。
「なんだ、行者らしくないじゃないか。命惜しさに引き返すなんて」
そう思うのは勝手であるが、行の一番の目的は「生きて行を終え、人生を深めること」。ゆえに、あえて役行者は引き返した。
その後日譚はといえば、役行者は2回目にその難所を克服している。
「無理はしないけれども、絶対に諦めない」
そんな精神が、「行者帰りの精神」なのだという。
出典:致知2013年4月号
「極限を通して見えてきたもの 塩沼亮潤」
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