漢詩選
楓葉(ふうよう)庭に翻る秋去るの日
西窓斜日落霜滋(しげ)し
愚僧掃後優閑の境
榻に坐し茶を煎じ静かに眉を展(の)ぶ
〜晩秋所懐(澤田宗博)〜
短歌選
線量の 高くもがざる豊作の 柚子が黄に照り冬陽を返す(高松こと)
パソコンを 打ちつつ話す医師多し 患者のわれと向き合わずして(中西勝美)
俳句選
鋭角に 迫りて来るや冬の月(村田文夫)
除雪車の 音に目覚めし夜明けかな(伊藤吉一)
着ぶくれて 能舞ふごとき思ひなり(橋口俊司)
濡縁の 猫と語らう冬日和(村上要)
一声を 置きて野鳥の飛び去りぬ(櫛田賢治)
被災せる 友に送りぬ蜜柑箱(柴田和子)
鱈ちりの 炊けて真白き具材かな(石田浩道)
建てかけの 家の木組みや冬の星(北郷聖)
古傷も 撫でてやりたる初湯かな(飛田正勝)
川柳選
雑念を 払いのけたらボテけゆく(櫛田賢治)
どっかりと 座る人ほどイエスマン(鳥居豊彦)
節電が 昔の知恵を掘り起こす(小久保左門)
子の未来 親の鏡に映らない(橋口俊司)
出典:大法輪 2013年 03月号 [雑誌]
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