血液型には「歴史」がある。
もっとも古い歴史を持つのは「O型」。
そのルーツは約4万年前。アフリカ生まれのクロマニヨン人に由来する。彼らの血液型は皆、O型だったのだ。
その最も長い歴史ゆえに、今なお「世界で最も多い血液型」はO型なのである。
次に出現するのは「A型」。
紀元前2万5,000年から1万5,000万年頃、アジアや中東で「農耕」を始めた民族の中から生まれたのだ。
クロマニヨン人のO型が「狩猟民族」を象徴しているのに対して、A型は「農耕民族」のそれである。
狩猟民族と農耕民族では「食べ物」が異なる。肉を食う奴らと、コメ(もしくは小麦)を食う者どもの差である。だから、O型とA型で消化器官や免疫系が異なるのは至極当然のことである。
さらに時代が下り、紀元前1万5,000年前から1万年にかけて、ヒマラヤ山岳地帯には「遊牧民」が現れた。彼らが「B型」の祖である。
彼らの食するのは干し肉やチーズなどの保存食。O型(狩猟民族)やA型(農耕民族)とは、一風異なる食生活であった。
最後に登場するのは「AB型」。
まだ1,000〜1,200年ほどの浅い歴史しかないと考えられている。そのため、AB型は世界の人口の5%以下しか今だ存在しない。
AB型は、文字通りA型(農耕民族)とB型(遊牧民)の足し算の結果である。それゆえ、その両者の特徴をバランスよく受け継いでいるといえる。
なるほど、確かに血液型には歴史がある。
それぞれの暮らし方によって食事が変わり、血が変わっていったのだ。「食べ物で治せない病気は、医者でも治せない」、そう言ったヒポクラテスの言葉は、あたかも食生活の深い歴史を彼が知っていたかのようだ。
食生活とともに深い歴史をもつ血液型。それが今なお、我々の体質に影響しているということも十分に頷ける。
O型は「元・狩猟民族」であるだけに、肉類の消化に長けている人が多いという。A型は「元・農耕民族」だから、穀物や野菜を消化する酵素をたくさん持っている。
肉に強いO型の人は、夜中に焼肉を食らうのも是である。しかし、肉に弱いA型の人は、太ったり胸焼けを起こしてしまうかもしれない。
その食材が「栄養」となるか、もしくは「毒」となるか?
それを決める因子の一つが、食物に含まれている「レクチン」というタンパク質だと考えられている。
レクチンというのは、血液に混ぜると血液を糊のように凝集させる力がある。身体(血液型)に合わないレクチンは、血液をドロドロにしてしまう。逆に血液型に合うレクチンであれば、血液はむしろサラサラになる。
同じ肉でも、人の反応はさまざまだ。
ヨーロッパ系のO型にとって肉は必須。しかし、アジア系のO型は魚の方を必要とする。いずれにせよ、両系統とも消化器系と免疫系は他血液型よりは強靭である。ただ、小麦やトウモロコシなど(穀類)が合わない人もいるという(生粋の狩猟民族?)。
A型の人の中には、肉の脂肪が苦手という人がいる。それは純粋たる農耕民族の血が濃いためであり、彼らの胃酸がO型の人々よりも少ないからである。牛乳などの乳酸品や卵などが不得手な人も多い(消化器系が繊細なため、野菜は人一倍必要とするのだが…)。
ヒマラヤの厳しい山岳地帯に順応していった歴史をもつB型の人々。彼らは環境の変化に柔軟に適応できる資質をもつ。
しかし、海が遠かったせいか、カニやエビなどの甲殻類、もしくは貝類などのレクチンが有害となることがあるという。なぜか、ナッツや種子類を避ける人も多いのだとか。農耕チックな種にも縁遠いということか…。
AB型はその歴史が浅いせいか、免疫系が弱く感染症にも気をつけなければならない。
彼らにO型の要素はないからか、肉は得意としないものの、B型の順応力がそれをカバーする。そしてA型同様、野菜中心の食生活が肌に合うようだ。
人によっては、上述した体質が強く当てはまる人もいるかもしれない。そうした人々はきっと、血液型の歴史を色濃く受け継いでいるのだ。
一方で、何万年という歳月を経て、その特色が薄まっている人々も多い。そうした人々がほとんどだろう。
ゆえに、食物の相性はそれほど気にしすぎる必要もない。
「合うものを普段5食べていたら、1か2増やして、合わないものを1か2減らして食べると良いでしょう(中島旻保)」
バランスをとるためには、それほど極端になる必要はないとのことだ。
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出典:致知2013年4月号
「血液型の特性を知って健康になる 〜食べ物と血液型との意外な関係〜」
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