話:桜井章一
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カラダから「力を抜く」とは、力が入った状態から力を抜くわけだが、それは”押してダメなら引いてみな”というときの”引く”とは違うものである。力を抜けば、力はゼロになるのではなく、核分裂反応を起こすようなエネルギーがそこから湧いてくるのである。
真に力を抜いた状態とはもちろん、カラダから単に脱力することではない。どこにも緊張を入れず、柔らかな状態にカラダを置くことが「力を抜く」ことなのだ。
このように言うのは簡単だが、行うのは至難の業である。本人は力みのない柔らかな動きだと思っていても、必ずどこかにちょっとした力みや緊張が入っている。カラダの表面は緊張がなく柔らかであっても、内側が強張(こわば)っていたりすることも多い。
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カラダの力を抜くということは、力みを加減して調整するという方向のものとはまったく違う。カラダのいろいろなところを柔らかく動かすことで、”潜在している力が全身に散って一気に活性化してくるような感覚”である。
1つのものが2つ、2つのものが3つ、3つのものが4つになるといった感じで、全身の中でそれらが瞬時にスッとつながり、核分裂反応を起こすようなエネルギーが生じるのである。
力を抜くことで出てくる力には、通常の力を出すのに要る”ある距離や速度”といった条件がまったく必要ない。”距離も速度もないところ”で、筋力による力を超えた、次元の違うエネルギーは生まれるのである。
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引用:桜井章一『体を整える 』
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