話:桜井章一
南の島なんかへ行くと、マングローブの木がありますよね。
マングローブは長い実をつけるんですが、親の木が「こいつは強い子だな」と思うと、(その実の)先を尖らせて落すんだそうです。それが地面に突き刺さって、そこからまた一本の木になる。
反対に「こいつは弱いな」と思うと、先を尖らせないで川に流れるままにする。流されていった実は、競争相手のいないところで根を生やして成長していく。
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鷹のある種類は、ヒナが互いの生存をかけて兄弟同士で戦い、生き残ったほうを親が育てる。
人間からすれば酷いことをしているように見える。わが子なのに、と。でも、それは鷹の本能のなかにあるもの。
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人から見れば差別的な感じがしますけど、まったく自然の摂理なわけです。
人は、子どもを分け隔てなく育てなきゃいけない。それが優しさや思いやりと思われたりするけど、それは人が勝手にそうしているだけであって、自然からみれば見せかけの優しさだったりするかもしれない。
世間の表面的な常識にしたがった綺麗ごとだけで済ませようとしていると、おかしなことにもなる。少しでもそうならないようにするためにも、人間社会の問題を自然の観点から見ていくのは大切なことだと思いますね。
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引用:桜井章一『賢い身体 バカな身体』
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