話:永六輔
片野元彦さんという”藍の絞り染めの職人”さんがいました。
現役のパリパリで活躍していた頃なんですが、あるとき、料理屋で自分のつくった風呂敷が額縁に入れて飾られているのを見た。それで仕事をやめちゃったんです。
「これはきっと、オレのつくった風呂敷が物を包むためのものじゃなくて、”額縁に入れるのにふさわしいようなもの”になってしまったからだろう。オレの仕事がどこかで威張っていたとすれば恥ずかしい」
片野さんはそう思って、自分のつくったものからそういう嫌らしさが消えるまで、仕事をしないと言った人でした。
引用:永六輔『職人 (岩波新書) 』
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