2012年9月19日水曜日

「原発ゼロ」に対応する原発3社


「東芝・日立・三菱重工」、この3社は世界有数の「原子力発電」プラント・メーカーだ。

日本では、ごく初期のものを除いて、すべての原発プラントがこの3社によって造られている。

しかし、日本が政策転換をした今、この3社は軌道修正を迫られることとなった。。



業界の幹部らによると、「国内でのビジネスの損失は、事業の軸足を『外国』に移すことで埋められる」という。

すでに東芝は、アメリカの原発メーカー「ウエスチング・ハウス」を54億ドル(4300億円)で買収しており(2006)、日立は「GE(ゼネラル・エレクトロニクス)」、三菱重工は「アレバ社(フランス)」とそれぞれ業務提携関係にある。

また、東芝が現在建設している原子炉は、すべて日本国外にある(アメリカと中国に4基ずつ)。しかし、トルコからの受注はリードを失った。それは、東京電力が手を引いたためだ。トルコなどの新興国では、プラントの建設のみならず、運転面での支援や金融面での支援などもセットになった「パッケージ取引」を求めてくるのである。



原発3社のうち、最も失うものが少ないのは「日立」だ。

日立の売上高は3社中最大であるにも関わらず、原発事業が売上に占める割合は3社中もっとも小さい。日立の売上全体のうち、原発の占める割合は2%にも満たない。一方の東芝や三菱重工は、この数字が10%にものぼる。



むしろ、日本のエネルギー方針転換は、日立の「追い風」となる可能性も高い。なぜなら、日立のエネルギー関連事業の売上高のうちの60%が「火力発電」であり、20%を再生可能エネルギーから得ている。原発は残りの20%を占めるにすぎない。

東芝と三菱重工も同様、天然ガス・タービンから太陽光パネル、風力発電タービンにいたるまで、「原子力に取って代わる発電技術」を数多く手がけている。これらの技術には今後、何十兆円もの新規投資が見込まれている。



東芝・日立・三菱重工、この3社は原子力がなくなっても、そう簡単には倒れない。多少、今までの目標が先送りにされるくらいだ(東芝は目標を2年繰り下げた)。

彼らの強みは、事業の多様性さにあるのである。事業バランスの見直しは今、急速に行われている。



出典:Financial Times
「『原発ゼロ』で対応を迫られる日本の原発メーカー」

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