江戸時代以前に築かれた「天守」で現存するのは全国に12基。そのうち国宝となっているのは4基で、「彦根城」はその一つだ。三重三階の天守は、徳川譜代の大藩の城郭にふさわしい優雅な雰囲気を漂わせている。
牛蒡(ごぼう)積みの石垣の上にたつ彦根城。牛蒡積みは野面積みの一種で、細長い石を差し込むようにして積み上げられている。見えている石の面積は小さいけれども奥が深く、非常に堅牢なのだという。
小高い山の上にある彦根城の天守は、遠くからでも眺められるが、防御上の配慮からか、近づくにしたがって見えにくくなる。江戸初期、「大阪城への抑え」として築かれたこともあり、その天守も大手門も大阪の方を向いている(表門だけは江戸の向き)。
じつは彦根藩主、いざという時には「京都の天皇を彦根に移す」という密命を、幕府から受けていた。常備されていた120艘の御用船は、その時のためのものだったという。
今、彦根城の屋形船は観光客用の「舟遊び」の足として、毎日忙しいとのことである。
出典:
歴史街道 2012年 09月号
「彦根城」
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