マンガ評論家「米澤嘉博」。
人呼んで「マンガ収集の鬼」。
米澤には自らに課した掟があった。
それは「すべてを受け入れる」。
「マンガのコレクターって、手塚治虫や石ノ森章太郎のような『宝石』のような作家をコレクションしている人はいっぱいいます。一方、米澤さんはコンビニで売られているレディースコミックなど、今は日常的に手に入るが、『コレクターがいない種類のマンガ』を非常に意識的に集められた。みんな読んでいたのに、後から読めなくなるというのを防ぎたいと考えていたんです。」
「マンガというのは玉石混交であり、たいていのコレクターは『宝石』の部分だけを集めたがるんですけど、米澤さんは『石コロがないと宝石も生まれない』という考え方の持ち主で、むしろピラミッドの『底辺部分の厚さ』が頂点の高さを支えている。その底辺こそが大事だと考えていたのです。」
米澤は有名な作品のみならず、これまで顧みられなかった漫画をも体系的に捉え直すために、前人未到の研究に挑むため、膨大な漫画を収集した。
「米澤さんはずっと家でマンガ本を収集していたんですね。家がマンガ本でいっぱいになると引越しをされて、残された家を倉庫として潰していくという形。転居した家の跡に、マンガの倉庫として潰された家々が点々としている。本人は『ヤドカリ生活』と呼んでいたそうです。」
出典:NHK 探検バクモン「愛と欲望のマンガ道」
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