宮本武蔵『五輪之書』水之巻
「兵法の目付ということ」
目の付けよう、大きに広く付けるなり。
”観見”二つのこと。
”観の目”強く、”見の目”弱し。
遠き所を近く見、近き所を遠く見ること兵法の大事なり。敵の太刀を知り、いささかも敵の太刀を見ずということ兵法の大事なり。
工夫あるべし。この目付、小さき兵法にも大きなる兵法にも同じことなり。目の玉動かずじて両脇を見ること肝要なり。
このようなこと、いそがしき時にわかに弁(わきま)え難し。この書付を覚え、常住この目付になりて何事にも目付の替わらざるところ、よくよく吟味すべし。
0 件のコメント:
コメントを投稿