2013年10月15日火曜日

「観」と「見」 [宮本武蔵]



宮本武蔵『五輪之書』水之巻


「兵法の目付ということ」


目の付けよう、大きに広く付けるなり。

”観見”二つのこと。

”観の目”強く、”見の目”弱し。

遠き所を近く見、近き所を遠く見ること兵法の大事なり。敵の太刀を知り、いささかも敵の太刀を見ずということ兵法の大事なり。

工夫あるべし。この目付、小さき兵法にも大きなる兵法にも同じことなり。目の玉動かずじて両脇を見ること肝要なり。

このようなこと、いそがしき時にわかに弁(わきま)え難し。この書付を覚え、常住この目付になりて何事にも目付の替わらざるところ、よくよく吟味すべし。




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